拠点

新しい生活

 町を奪還してから、7日が経った。

 砦に逃げたであろう兵達は、報告をしたはずだが、一向に応援を寄越す気配がない。


 奇妙ではあったが、応援が来ないなら、それに越したことはない。

 魔族たちは人間たちを追い出し、ようやく自分達の居場所を手に入れた。


 本当は人間、魔族など関係なしに暮らすことができれば、理想。

 だが、ありったけ蔑まれた魔族達にとって、仲良しこよしの暮らしなど、まずありえない。


 中には報復のつもりで、町にいた人間の住民を後ろから殺しに掛かる者までいた。


 一人を皮切りに、魔族達の反乱が激化するように思われた。


 騒動を止めたのはウェイ達だ。

 ベルブが必死に、「やめてください」と叫んでいたのを聞いて、桶を棒きれで叩き、制止を呼び掛けたのだ。


 冷静とまではいかないが、ウェイ達が制したことにより、殺戮は免れた。


 人間がいなくなってからは、住める場所に魔族達は住み、当面は畑や家畜などの世話をして、食料を確保しようという流れになる。


 小さな町一つから、始めていくつもりだ。

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