避難完了

 町の外で合流した仲間達。

 外へ避難させた魔族たちは200人余り。

 他は残念ながら、すでに死んでいたりと、連れてくることができなかった。


 集められた魔族の面々は、不安げな表情で騎士達を見ている。


「あの……」


 子供の傍で母親らしき魔族が言う。


「一体、何事でしょうか?」

「今、町では交戦してる。危ないから避難させたまでだ」


 本当はもっと時間を掛けて、作戦を練って、救出にきたかった。

 しかし、紗枝が「すぐに動きましょう」と提案したのだ。


『時間が経てば、対策を練られる。だったら、態勢が整う前に殺してしまいましょう。町はどこに何があるか、ある程度は把握してます。それと兵士の方々は大したことがありませんでしたので。やはり、早急に始末しましょう』


 紗枝の言葉を思い出して、ウェイは何とも言えない気分になった。

 頼もしくはあるが、今まで悩んだり、悶々してきた日々を一蹴された気分だ。


「次に町へ戻るときは、……あたし達の町だ」


 住民たちは肩身を寄せ合い、静かに頷いた。

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