第152話 阿保らしい。
「……何故そこで男性の名前が出てくるのかしら? もしかして、その男性が今話題の黒の魔術師という可能性があるという事かしら?」
そしてお母様は私の口から男性の名前が出てきた事が気になったのか東條圭介の事について、その男が今話題の男性ではないのかと聞いてくる。
「いえ、その可能性は恐らくないかと思われます。私もその事を不思議に思い彼について過去の資料などを確認いたしましたが、つい最近の能力検査での判定はE評価をされており、魔力測定値にかんしても『一般男性と比べると多い程度』ではあるものの、あのようなミーチュウーブで流れているような魔術を行使したりできる魔力総量がそもそも無い為、総合的に例の男性と東條圭介は別人であると判断いたしました」
「……彼が敢えて道化を演じている可能性は無いのかしら?」
「そうですね……その場合はわざわざこの学園に入学してくる必要が無いかと思います」
「…………それもそうね。正体を隠すために道化を演じているのに魔術学園に通うというのはあまりにも矛盾しすぎているわね……。もし同一人物であれば頭がおかしいとしか思えないわね。だけれども、二年生の中でもトップ層にいる女生徒質三名を侍らしているのがいまいち理解できないわね……」
「それに関しては、恐らく能力の高い子供を産みたいと現段階で彼の遺伝子に目を付けているのでは? と推測しております……」
「……そう考えれる事も可能、という事ね」
そして母はそういうとティーカップに入った、冷めた紅茶を口にする。
「それで、あなたは彼女達を見て何をしているのかしら? まさか何もしていないという訳ではないわよね?」
「そ、それはどういう事でしょうか?」
母の言いたい事は理解している。
恐らく『家の為により良い遺伝を残す努力をしているのか?』という事であろう。
しかしながら私はあえてその事に気付いていないフリをする。
何故女性の私が男性というゴミに対して下手に出て遺伝子を貰えるようにアピールしなければならないのか。
東條圭介の周りに侍っている三人の女性を見て、より一層そう思ってしまう。
むしろ男性の方が私にアピールするべきなのだ。
阿保らしい。
「…………そう。別に無理強いはしないわ。けれどもその努力をしないのであれば貴女の結婚相手はこちらで選ばしていただきますからそのつもりで居てちょうだい」
「分かりました、お母さま」
それを無理強いと言うのではないか? という言葉を口に出る寸前で何とか堪え、物分かりの言い娘を演じるのであった。
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