第151話 欲望が駄々洩れじゃねぇかよ

「……べ、べべべ、別にその……東條様のアレが気になるとか、見てみたいとかそそそそそ、そういうのではないので、ぜひ私たちの事は路傍の石とでも思って存分にここでしちゃってください……っ!!」

「いやそれもう的場の欲望が駄々洩れじゃねぇかよ……っ!!」


 なんだろうか? このメンバーにまともな思考を持っている人がいると思っていた俺が間違っていたのだろうか?


 的場にいたってはもう欲望を隠しきれてないではないか。


 というか、氷室も大槌も的場も、なんだか少し顔を赤らめてソワソワしているのをみるに『それが目的では?』と思って良いだろう……。


 まぁ、確かにそういうのが気になる年頃であるとうのは分かるし、そういう妄想や思考になったとしても、だから叱るとか注意するつもりは無いのだが、それを行動に移してしまうのは流石にヤバいだろう。


「あんっ」

「ぐはっ」

「きゃん……っ」


 という訳で俺はこいつらの尻を蹴飛ばしてトイレの外に追いやると、結界を張って中に入れなくする。


 しかし、的場は何故か尻を蹴られて突き飛ばされたにも関わらず恍惚な表情を浮かべており、氷室と大槌は的場程ではないにしろ、何故か満更でもない表情をしているではないか……。


 こいつら……。


 その光景に俺は軽く引いてしまう。


 これを平和といって良いのか疑問ではあるものの、街単位で見た場合俺一人の苦難など些細な問題でしかなくスレットやテロリストたちの脅威が一時的にではあるものの去った現状は平和と言っていいのかもしれない…………と思考を切り替えて何とか平常心を取り戻し用を足すのであった。



◆焔・ヨハンナ・ドミナリアside


「「「お帰りなさい、お嬢様」」」


 黒塗りのリムジンから降りると、家に仕える使用人たちが両端に揃って頭を下げながら挨拶っする。


 その挨拶を無視して私は進むと家へと入る。


「お帰りなさい、焔さん。本日の学園はどうだったかしら?」


 すると、玄関には元日本魔術師協会ナンバースリーであり私の母がそこに立っていた。


「ただいま帰りました、お母様。学園ですがいつも通り、何の問題もございません……ただ──」

「ただ……?」


 そう聞き返す母の顔は、私の心まで見透かそうとしているのが伝わってくる。

 

 その姿は、一人の母親ではなく、一人の魔術師として私の前に立っているのが窺える。


「──……ただ、二年の中で少し気になる者たちが……」

「……続けなさい」

「は、はい。……氷室麗華、大槌千里、的場依鶴、そして東條圭介がここ最近つるんでいるようで、そのせいで二年の空気は以前とは違うモノになっております……」

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