第149話 良く吠えるチワワ
ここが、ケイスケが産まれた育った世界……。
そう考えると、何だか妊娠しそうになって来たわ……っ!!
だって、今私が呼吸する為に吸っている空気も、もしかしたらケイスケが吸っていたかも知れないのだから、それはもう間接的な小作りと言っても過言ではないだろう。
そう今私は全身でケイスケを感じているという訳である。
「さて、ケイスケの事を思っていると時間が一気に過ぎてしまうのですが、ここでケイスケとのあれやこれやを想像したところで本人に会えるわけでもないのでちゃんと探しましょうか……」
そして私は、意識を集中する。
すると、薄っすらとケイスケの存在を確かに確認する事ができる。
その事実で私涙腺が崩壊してしまったのかと思える程に涙が溢れ止まらなくなってしまう。
確かにケイスケがこの星に存在すると分かっただけでも、いるかいなか分からない状態と比べると天地の差であるのは間違いないだろう。
ケイスケがこの世界から居なくなったという可能性が無くなったのである。
そう、間違いなくケイスケがまだ生きている、それもこの星のどこかにいるという事が分かったのである。
「待っていてね、ケイスケ……っ!!」
そして私はケイスケを感じる方角へと向かうのであった。
◆主人公side
ここ最近はやたらと変な事件に巻き込まれてしまいバタバタしていたのだが、それもようやく落ち着いてきて平穏を取り戻したところである。
それは、言い換えると女性に見下されながら学園生活をするというものであるのだが、依然と違う事は、俺の周りにはまるで親衛隊のごとく数名の女性が常にいる事である。
とは言ってもその数名の女性はいつものメンバーである氷室麗華、大槌千里、的場依鶴の三名なのだが……。
確かに彼女たちのお陰で多少は女生徒からの見下された視線はかなり減ったとは思うものの逆に珍獣を見るような視線が増えた上に彼女たちが常にべったりとくっついてくるので俺のプライベートな時間は、この学園生活では無くなったと言っても過言ではないだろう。
それならばむしろまだプライベートな時間があった前の方がマシであったと言えよう。
確かに見下された視線を向けられるという事は自分が思っている以上にストレスがあるものの、それも三十年前の話であり今現在では『けど俺はこいつらよりも強い』という事実があるのでストレスを感じない訳ではないけれども、以前と比べると雲泥の差である事は間違いない。
それこそ『良く吠えるチワワだな』程度のストレスと呼べるかも怪しいレベルである。
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