第148話 転移する事に成功した
その最大の証拠が何を隠そう東條啓介そのものであり、彼の存在を隠蔽している事であった。
もしその事が上にバレてしまうと斎藤博士の首が物理的に飛んでしまうだろう。
因みに斎藤博士が上を裏切っている理由は、私たちのように正義感からくるものではなく『知識の隠蔽と搾取』であるというので、彼女はある意味で魔術に関しては手段を択ばないという人なのだろう。
まぁ、それに関しては彼女の人となりというか、変態具合を見れば納得なのだが。
とりあえずはその変態のお陰で私は『数年で手に入れることができる力を今無理矢理手に入れて直ぐに死ぬくらいならば、数年間努力してから抗って死んでいった方が薬によるタイムリミットが無い分まだ長い間私は戦う事ができる』と思えた瞬間、薬に頼る事がバカらしくなった』というのがかなり大きかった。
そして何よりも今まで所属していた組織であるアンノウンに対して疑心を感じるようになった事も大きいだろう。
その最たる理由が、薬による離脱症状があまりにもきつ過ぎるという事である。
これは、アンノウンが若い魔術師に甘い言葉を投げかけ、釣れた魔術師に薬で簡単に力を手に入れることができると言って薬を飲ませる事によって、例えアンノウンに違和感や疑心を感じたとしも薬の離脱症状のキツさによってまたその薬を手に入れる為に組織を抜け出せなくなる。
今までは『過ぎたる力にはリスクが伴う』と疑問にすら思わなかったが、別の視点から見てみると、そう考える事もできることに気付けてからはもう私はアンノウンに対して今までのように盲目的に信用する事はできなくなっていた。
その事を他の二人に相談してみると、他の二人も同じ考えに至っていたようで、次の日からは斎藤博士の指示を無視するような事は止めて、素直に指示を聞くようになった。
そして思う。
いつの時代も弱者が食い物にされるだけであり、私は結局表の世界からも裏の世界からも食い物にされるだけの人生で終わる所だったんだな……と。
この組織も私たちを食い物にしないとは言い切れないのだが、その事に気付けた事は大きいと私は思う。
だからこそ私は誰にも食い物にされないくらいに強くなって見せる。その為の努力は惜しまない。
そう思いながら斎藤博士の後ろをついていくのであった。
◆
ケイスケ・トウジョウがこの世界から居なくなった二十年余り。
私は死に物狂いでケイスケが帰った世界へと転移できる魔術を作り、その魔術を行使するのに必要な、膨大な魔術は空に輝く星の位置を利用して大規模な魔法陣を作り、それによって作られた膨大な魔力を利用するという力業でどうにか私はケイスケがいる世界へと転移する事に成功したみたいである。
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