第145話 まったく思っていない
「東條君、それは本当かね?」
そして斎藤博士は何故か頬を少しだけピンク色に染めると、もじもじとしながら先ほど俺が言った言葉が本当かどうか聞いてくるではないか。
その姿を見て少しばかり『可愛いな』と思ってしまうではないか。
普段おちゃらけており服装も異性など全く興味が無いとばかりにお洒落とは無縁の、毎日が白衣のローテーションで髪の毛はぼさぼさの斎藤博士が見せる、普段見せないような雰囲気と態度のギャップは少しばかり卑怯だと俺は思う。
そもそも化粧をしなくともなナチュラルに美人であり巨乳なのだ。
変人というところさえ目を瞑れば、まさに光る原石。いや、磨かずとも光り輝く宝石そのものであり、その輝きを変態というマイナス要素が大きすぎてくすんでしまっているだけなのである。
「えぇ、一応嘘は言っていませんが?」
「そ、そうか……。えへえへ。そ、そこまで私の事を異性として見てくれるのならば中島助手も口酸っぱく指摘して来るので、そろそろ化粧とファッションを勉強して東條君好みの…………ではなくて身だしなみを整える努力をしてみようかな……。ほら、一応ここもたまーーーーーーに外部から人は来るからね。そんな時にみすぼらしい格好をしていては流石に失礼だろう?」
しかし、いくら可愛いと言ってもやはり変態度合いというか今まで見てきたマイナス要素があまりにも大きすぎてしまっているのだ。
斎藤博士は隠しているつもりであろうが、先ほど俺が不用意に褒めたせいで俺に少なからず異性として意識し始めている事はバレバレである。
どうやら三十路の乾ききった心に潤いを与えてしまったようである。
これにはさすがの俺も想定外というか、もう異性には興味を示さないとある種の信頼を置いていた為流石に焦るとともに背中に冷汗をかく。
「なに一周り下の学生に色目使っているのですか斎藤博士!! そもそも東條君は学生な上に未成年なんですよっ? それはれっきとした犯罪ですからねっ!?」
そして俺でも気付くという事は中島助手にも気付かれるという事でもあり、速攻で突っ込まれているではないか。
正直言ってこれに関してはかなり助かったと、胸を撫で下ろす。
「馬鹿を言うなっ!! ギリギリ一周りではないし、恋に歳の差など関係ないだろうっ!! それに未成年であろうとも両想いであれば問題ないはずだぞっ!! ま、まぁ、私は東條君の事など何とも思っていないし、ここ最近アラサーに足を突っ込んでしまった事により婚期を焦り始めているとか、そんな事はまったく思っていないけどっ!?」
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