第141話 後悔して死んでいけばいい


 一応私は彼女達に警告をした。


 これで何かあっても私の責任ではなく、警告を無視した彼女達のせいだろう。


「では私からも一言。 薬という物を使って偽物の力を手に入れた所で真に鍛えられた力真実の愛の力の前では無力に等しいという事を教えてあげましょう」

「…………い、いつまで強がっていられるか見ものですねっ!! どうせ貴女たちはぬくぬくと日の当たる場所ですごして来たんでしょうっ!? 世界の闇を、不幸のどん底を、泥水を啜って生きて来た事も無いような人たちが、真に鍛えられた力か何なのか分からないですがそんな温室育ちの力で私達に勝てる訳がないでしょうっ!!」


 途中ちょっと相手の言葉とその言葉に含まれている意味に乖離があるような気がして少しばかり理解するのに時間がかかったのだが、どちらにせよ彼女たちは私たちの邪魔をする時点で世界の闇の部分とは無関係な生き方をした者達である事は間違いない。


 もし私たちと同じような境遇で育ってきたのであれば、私たちの行なっている事に賛同こそすれ邪魔をするなどまずあり得ないだろう。


 そもそもそんな温室育ちで頭の中が『話し合えばお互いに分かりあえるはずだ』などと思っているような者たちであれば例え薬を使わなくても負ける事は無いだろう。


 所詮は世界の綺麗な部分しか見てこなかった者たちでしかないのだから。


 もはや彼女たちの言動は私たちへの冒涜でしかない。


「あら、そう思うのならば早くかかって来なさいな。 薬の持続時間も永遠という訳ではないのでしょう?」


 そんな私の感情などお構いなしに、私たちを見下し、まるで癇癪を起した子供を相手にするような声音で煽ってくるではないか。


「良いでしょう。 絶対に後悔させてやる。 今日私たちに楯突いてきたことを死ぬまで公開させてやる。 私からすれば、貴女のそのような態度は私たちが今まで狩ってきたゴミ魔術師たちと同罪であると判断しますっ!!」


 そう、私たちの邪魔をするだけではなく、見下すようなその態度はゴミ魔術師たちと同罪であり、同じように四肢を潰して一生国家魔術師として生きる事の出来ない身体にしてやろう。


 一生今日この日の事を後悔して死んでいけばいい。


「おいで、牛鬼っ!!」


 そして私は一度解除した魔術行使用媒体を再度起動させ、装着し慣れた重厚感のある黒光りしたフォルムが私の身体に装着され、ゲームなどでよく見る重戦士のような格好に水牛を彷彿とさせる長く太い角がついた兜によりその姿はまさに牛そのものであろう。

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