第134話 それが全てよ
…………中島助手には後日焼肉か何かおごってあげようと強く思うのと同時に貴重な休みを潰してしまって申し訳ないとも思ってしまう。
というか、俺の周りには何故か頭のネジが二~三本ほどどこかに落としているであろう女性しかいないのだが、その中で中島助手だけがまともな感性を持っているが故にここ最近では少しずつ俺のオアシス的な癒しになって来ていたりするので、避けに中島助手を困らせたくないと思ってしまうのは致し方ない事だろう。
しかしながら、このかしまし娘三人衆は既に爆発音が未だ聞こえている現場へと突撃する気満々である為、これは俺も腹をくくるしかないと諦めて人気のない場所へと移動して変身用のキューブ型のアイテム取り出すと起動して変身する。
このアイテムは斎藤博士が俺たちの為に『いつでもどこでも即座に変身できるように』と魔術行使用媒体の技術を応用して作ってくれた変身アイテムである。
いくら応用と言えどもキューブに登録した人を即座に指定した衣服へと着替えさせるというアイテムを片手間で作ってしまうのだから、悔しいのだけれどもやはり斎藤博士は天才であると思ってしまう。
そして俺たちは黒い衣装に身を包んで戦闘音がする場所へと向かうのであった。
◆
「やっと見つけた」
「三日間張った甲斐があったなっ!」
「これで任務を終えて帰る事ができるデス」
やっと今回のターゲットである魔術師を見つけてホッとすると、理沙とリーシャも同調してくれる。
流石に、いくら目撃情報がありこの場所を訪れると分かっていたとしても、三日間も張り込むというのは体力的にも精神的にもきつかったのは私だけではなかったのだろう。
「あ? なんだい、お前たちは?」
そんな私たちに行く手を阻まれた私服姿の軍に所属している国家魔術師様は怪訝そうな表情で聞いてくる。
「そうね、学生時代にドーピングをした結果調整をミスって魔術を暴発させ、国家魔術師志望である学生を一人殺してしまった件と言えば良いかしら?」
なので私は『何故私たちがここ現れたのか』と言う理由を言うと、目の前の魔術師は表情こそ変えなかったのだが、眉毛がピクリと動き、殺気を垂れ流し始めるではないか。
もはや彼女のその反応が私の言葉への回答と言っているようなものだろう。
「…………なんでお前たちがその事を知っているんだい? しかし残念ながら私はドーピングなんかしていないし、あれは不慮の事故として終わった話よ。 そして国もそういう判断を下したわ。 それが全てよ」
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