第132話 イレギュラーなだけである
そして俺たちはなんのかんのと言いながら、周囲から奇異な目で見られつつ登校をするのであった。
◆
なんだか最近目まぐるしく俺の日常が変化して行っており、とてもではないが抗えない状態になって来ている。
勿論、それが嫌な流れであればとうの昔にこの町から去って、スレットの脅威から守られていない塀の外で生活をしていく事を選んでいる。
それをしないという事は、その日常の変化が面倒くさい事もあるのだが『それはそれで楽しんでいる自分』がいるという事が大きいだろう。
この世界の住人からすれば、今この現状を楽しんでいると言えるのは異常であるし、失礼であると思われる人がいるであろう事も理解しているのだが、俺は今この日常を楽しめるだけの力を持っているのだから許してもらいたいところである。
そもそも、国の軍に所属している魔術師たちですら勝てないスレット相手に突撃するという状況自体がこの世界の住人からすれば自殺行為でしかないのだから『楽しんでいる』などと言える俺がイレギュラーなだけである。
そして何が楽しいかと言うと、男性ならば理解してくれるとは思うのだが、巨大な日本刀の形をした武器を使うだけでも楽しいにも関わらず、それが手のひらサイズのキューブ型の魔術行使用媒体が巨大な日本刀へと変形するのだからたまらない。
はっきり言って、一日中武器形態とキューブ形態を変化させるだけでも楽しいので、それだけで一日潰せる自信がある。
それと、異世界では今日生きるだけで精一杯であった為魔術を楽しむ余裕が無かったのだが、この世界では異世界と比べて俺視点ではかなり平和であり脅威と呼べる脅威も無く、魔術を楽しむ余裕があるというのも大きい。
そんな世界でスレットという魔術や魔術行使用媒体を試せる絶好の動く的があるのだから楽しくないわけが無い。
「私、放課後にカラオケなんて初めてだったわ」
「それは私もですぅ~」
「俺もだなっ!! 意外とカラオケも楽しいもんだなっ!!」
「そうね、まさか依鶴が魔術師キュアプリの歌を全シリーズ歌えるだなんて、新しい発見もあったものね」
「ギャップで私の王子様を落とそうって魂胆かもしれませんよ~」
「っせぇっ!! 別に俺が魔術師キュアプリが好きでも良いじゃねぇかよっ!!」
あえて言うのであれば、この三名からどうにかフェードアウトできないかという点くらいなものくらいである。
そんなこんなで半ば強引に放課後連れてこられたカラオケというミッションを終えて暗くなった夜道を、姦しいBGMを聞き流しつつ帰宅していたその時、路地裏から爆発音が聞こえてくるではないか。
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