第100話 今頃結婚もしていたのではなかろうか?



 そして俺たちは小一時間ほど模擬戦を行い、解散するのであった。





「どうであった? 麗華君」


 そう真剣な表情で聞いてくる斎藤博士はいつもの変態じみた雰囲気ではなく、日本でトップレベルの知識と技術を持つ科学者と言われても納得できるくらいの雰囲気を醸し出していた。


 というか実際にそうなのだが、普段の言動や行動がちょっとおかしいのでかなり損していると言えるだろう。


 普段からおかしな言動をせずに今のような雰囲気で生活していれば今頃結婚もしていたのではなかろうか?


「やはり、東條様の強さは異常ですね。 自分で言うのもなんですがこの私が太刀打ちできなかったのだから……。 それも同じ刀を使ってですもの。 流石未来の私の夫と言うべきか……。 誇らしくあり、少しだけ嫉妬もしてしまうわね」

「ほうほう……。 麗華の未来の夫というのはちょっと意味が分からないのだが……確かに君たちの模擬戦を外から観戦させてもらった私から見ても彼の強さはかなり異常であると言えよう。 それこそ彼が以前言っていたように異世界でそれなりの経験を積んだとしか思えないな。 時間をさかのぼって戻って来たというのもあながち間違いではないのかもしれぬな……。 私も一度行ってみたいのだが、東條君ですら行き方が分からないというのだから残念でならない。 考えてもどうにもならない事は考えるだけ時間の無駄であろう。 とりあえず麗華君のお陰でかなり貴重なデータが取れたから、これからまた東條君に合った魔術行使用媒体へと微調整をしていこうか……。 あぁ、どのように調整してやろうか、今から想像するだけ股間が大洪水だよっ!!」


 そして斎藤博士はそう言うと何やらぶつぶつと呟き始め、結局最後には下ネタをブッ混んでくる。


 ホント、この下ネタさえどうにかすればと思わずにはいられない。


「あ、そうだ麗華君っ!」

「何でしょうか? 斎藤博士」

「君の魔術行使用媒体だが一度貸してもらえないだろうか? ついでにメンテナンスもしてやろうっ」

「別に良いですけど、何か新しい機能でも取り付けるんですか?」

「なに、東條君の魔術行使用媒体の能力は麗華君も知っていると思うのだが、今のままだと東條君の能力のサポートを受けた魔術行使用媒体は壊れてしまうであろう?」

「は、はぁ……まぁそうですね」

「だから魔術行使用媒体の性能を東條君に合わせて作り変えようと思う。 そうすれば東條君のサポートを受けても壊れないという訳だっ。 デメリットがあるとすれば本体の魔力保有量を底上げした結果──」

「お願いしますっ!!」

「──やはりその分少しだけ魔術行使用媒体の重量が……良いのかい?」

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