第99話 当然スルーである



 そして麗華は既に準備万端らしく、いつでも初めて大丈夫だと返って来るので俺は魔術行使用媒体へ魔力を込めて起動する。


 すると魔術行使用媒体は変形しだして、俺の身長よりも長い漆黒の刀へと変形し始める。


「まるで、私たち二人が並ぶと夫婦のように思ってしまう方が出てしまいそうね……。 あぁ、早くお披露目できないかしら……っ。 世界中の女性たちが嫉妬に狂う姿が目に浮かぶわね……っ!」

「いや、ただ単に同じメーカの魔術行使用媒体使っているんだなぐらいなんじゃねぇのか?」

「その場合は恋人同士故のペア魔術行使用媒体と思い嫉妬するわねきっと」

「…………さいですか」

「斎藤博士もたまにはいい仕事をするじゃないの」


 なんだよ、ペア魔術行使用媒体って。


 しかしながらそこを突っ込んでしまったら長くなりそうなので、スルーする。


「斎藤博士、一つ聞きたい事があるんですが?」

『どうした東條? 一突きしたい場所があるだなんて、それは私を誘っているのか?』

『一つ聞きたい事があると言っているんですっ!! いくらなんでも難聴すぎますっ!!』

『そう怒るな、中島助手よ。 それで、私に聞きたいことというのはスリーサイズかい? ちなみに私は今彼氏はいないぞ。 発散したいときはいつでも呼んでくれてかまわないぞっ!』

『何を言っているんですかっ!!』


 そして俺は麗華との模擬戦の前に一つ斎藤博士に聞きたい事があった為聞いてみる事にする。


 ちなみに当然斎藤博士のセクハラ発言に関しては当然スルーである。


「今回の魔術行使用媒体は他の武器に変形できないみたいなんですけど、形状は刀のみですか?」

『あぁ、すまない。 伝え忘れていたのだが、今回東條君専用に作った魔術行使用媒体であるのだが、今までのデータを見て刀が一番東條君に合っていると判断して形状は刀のみにしてある。 そのかわりその分能力はマシマシにしてあるから安心したまえっ!! ちなみに私の住んでいるマンションの合鍵が欲しい場合は──』

「なるほど……ありがとうございます」


 なるほど……器用貧乏型から一点突破型に変更した訳か。 


 痒いところに手が届きにくい場合はあるものの、その場合は異世界で覚えた魔術などでカバーすれば良いか。


「すまない、待たせたな」

「いえ。 それでは始めましょうか」


 そして麗華はそう言うと自らの魔術行使用媒体を起動して真っ白な刀を作り出す。


 白く美しい巨大な刀を一振りのみ作り出したという事は、二式ではなくスタンダードなタイプの様である。

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