第98話 これがロジックハラスメント
「え? ……それヤバくないっすか? てかその事が軍にバレでもしたら俺たち捕まりません?」
『あぁ、その事は大丈夫だ』
あのテロリストたちが使っていた『魔術行使用媒体アンチシステム』を解体して調べているだろうなとは思ってはいたのだがまさかそこで得た技術を俺の魔術行使用媒体に利用するだけならばまだしも、他人が使用している魔術行使用媒体の能力を一時的に底上げするとは言っても見方を変えればハッキング行為でしかないこんな能力を持った魔術行使用媒体が上にバレたりしたら間違いなく国から狙われるのではなかろうか?
というかそのような事になるのは少し考えれば分かる事であろうにその事をこの変態博士は気づかなかったのだろうか?
「や、え? 流石に大丈夫ではないのでは……?」
『そもそも男性である東條君がトップレベルの魔術師が行使するレベルの魔術を行使しているのが全世界に知られてしまっている時点で最早この新機能など些細な問題でしかないだろうっ!! それは言い換えると全世界が君を血眼になって探しているという事でもあるという事だっ!! これからはもしスレットの討伐などへ向かった際の帰り道は今まで以上に気を付けて帰宅する事だなっ!!』
そして、そんな俺の疑問を斎藤博士は敢えて考えないようにしていた事実で論破してくるではないか。
これがロジックハラスメントという事か……。
事実陳列罪が法で適用されていれば真っ先に訴えに走って行っていただろう。
何が腹が立つかと言えばあの変態博士にぐうの音も出ないレベルで反論されたという事である。
『おや? 少し気分が悪いように見えるのだが大丈夫かい?』
「あ、大丈夫です」
『そうか、君がそう言うのならば大丈夫だと信じよう。 しかしながら本当にヤバい状態になったのならばやせ我慢せずにちゃんと報告するんだぞっ!』
そして斎藤博士は修練場の外から俺の表情の変化を察知したのかマイクで心配して来るのだが、まるで煽られているような錯覚に陥ってしまうほど俺は悔しかったのであろう。
しかしながらそんな事をいつまでも引き摺っていても意味がないので俺は新しく作られた俺専用の魔術行使用媒体を試すという当初の目的へ集中することにする。
「それじゃぁ、行くぞ。 麗華」
「えぇ、いつでもどうぞ。」
なぜか前回一緒に隣町まで行ったデート以降少しだけいつもと雰囲気が変わったような、獲物を狙うタイミングを窺っているような肉食獣のような雰囲気を感じるようになった麗華へ、今から模擬戦を始める旨を伝える。
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