第89話 新しい世界を教えてくれた
「あ、パパは大丈夫」
「──ようと思ったんだけどね……。 麗華が大丈夫ならお父さんは見守るとするよ」
「うん、そうして頂戴」
しかしながら今日はママが友達とランチに出かけていて本当に良かったと心から思う。
ママの事である。 あのパパが珍しく私の行動がおかしいと気付くレベルで今の私は傍から見ても普段とは違う行動をしていたのであれば間違いなくママも気付いていたであろうし、私の取る行動がおかしい理由が分かるまで解放してくれなかったであろう……。
しかし今ママはいない訳で、ここにいない人の事で悩んでいても仕方がないだろう。
それよりも占いの内容である。
以前の私であれば間違いなく鼻で笑っていただろう。
しかし、今の私はあの占いを読んでから『もしかしたら占いのいう通りにすれば本当にうまくいくかもしれない』と思うようになってしまっていた。
恋をするという事は、その感情を知る前と知った後ではこうも世界の感じ方や見え方が変わってしまうのか……。
その新しい世界を教えてくれたのが東條様で良かった……。
そんなこんなで悩んでいたのだけれど、私はある種の答えにたどり着いた。
確かに、今回の占いも以前までの私が思っていたように全て都合のいい事しか書いていない時点で何の効果も無いのかもしれない。
けれど、これは占いが目的ではなく一歩踏み出すのが怖い女性たちにその一歩を踏み出せる勇気を与えるという点では疑いようのない事実であるという事に。
実際に私自身があの占いを読んでここまで悩んでいるのだからその効果は絶大であると言えよう。
たかが占いといえども馬鹿に出来ないと、考えを改めるくらいには。
「あぁもううじうじ悩んでも仕方がないわっ! そもそも悩んでいる時点で答えは決まっていて、ただ私にもう一歩踏み出す勇気が無いから答えが決まらずに悩んでしまっている証拠ではないのっ!! 女は度胸よっ!!」
そして私はついに、勢いそのままにスマホを取り出して東條様へと連絡を送る。
あとはなるようになるだろう…………あぁ、今更ながら私はとんでもない事をしてしまったのではないだろうか?
こんな騙し討ちのような事をして東條様に嫌われやしないだろうか?
そんなこんなで当日まで悩んでいたのだけれども、まさか本当に東條様とデートできるとは思いもよらなかった。
しかも、頭まで撫でられた……。
明日私は死ぬんじゃないかしら……?
いや、東條様と結婚して子供を産み、孫を見るまでは死ねないわね……っ!!
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