第87話 東條様との間に子どm
「……ほう。 それは、俺が隣町までついて行った事によって何か麗華は助かるのか?」
「はい? 先ほどからおかしいですよ? そんなの年頃の男女が二人で隣町にまでお出かけする時点でデートに決まっているわ。 それとも何かしら? 東條様は敢えて女性から言わせたいと、そういう性癖……女性が恥ずかしがる姿を見るのが癖の持ち主なのかしら? それならばそうと初めからおっしゃっていただければ、いつでも言いますのに……それこそ公衆の面前では言えないような言葉も二人っきりであればいつでも……」
なぜだろうか? 俺の精神がゴリゴリと音を立てて削られて行っているのだが……。
麗華から珍しく真剣な雰囲気の連絡が来たのだが、蓋を開けてみればこれである。
「帰ろうかな……」
「あら? そんな事を言って良いのかしら?」
流石に貴重な休日をそんな事で潰したくないと思った俺は回れ右をして帰ろうとするも、麗華に呼び止められる。
その麗華が手にしているのはスマホであり、ツブヤイターの麗華のアカウントのページが表示されているではないか。
「おい待て。 何をするつもりだ……」
「何って、このまま東條様が帰るのであればあの仮面の男の正体が東條様であるというのをこのツブヤイターで呟き、仮面の男を拡散している例のアカウントへ証拠付きでダイレクトメールを送るだけ、ただそれだけよ?」
「おけ、隣町までデートだなっ!! いやぁー、俺も実は前々から隣町へ行ってみたかったんだよなぁっ!!」
「…………っ」
「何惚けているんだよ? 行くんだろう? 隣町」
「え、ええ。 ですがこんな騙し討ちのような事で呼び出した上に脅迫まがいな事までしたのに本当について来てくれるとは思わなかったもので──あうあうっ」
せっかく俺が麗華のノリに乗ってあげて隣町まで行ってやるというのに、とうの麗華は信じられないといった感じで惚けているではないか。
「何を言うかと思えば……それだけ俺と一緒に行きたかったって事だろ? じゃぁそれでいいじゃねぇか」
そして俺はそんな麗華の頭を少し乱暴に撫でながら話す。
それに、麗華も馬鹿ではないのでこんな脅迫をした所で俺であれば今を捨てて余裕で逃げ切れるということも理解しているのだろうし、理解しているからこそ脅しにならないにも関わらず俺が隣町へ行くと言うとは思わなかったと思ってしまう気持ちも分からないではない。
「と、東條様……っ!! で、でしたら私、あの……東條様との間に子どm──」
「あ、でも本気で俺の許容を超えるような事をし始めたら全力でこの町から逃げるからな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます