第80話 絶賛全世界でバズっている最中
「あぁ、こうしちゃおれんっ!! 私は東條君の新しい魔術行使用媒体の開発で変更箇所を思いついたのでラボに戻って籠るぞっ!! あぁ、ゾクゾクしてきたぁっ!! では東條君っ!! 最高のズリネタを今日もありがとうっ!!」
「ズリネタとか言わないでくださいって何度言ったら分かるんですかっ!? そもそも東條君は未成年ですよっ!? ラインを超えると捕まりますよっ!?」
「ははははははっ!! 中島助手はおかしなことを言うっ!! ここにいれば捕まらないように作った場所ではないかっ!!」
「そういう意味ではなくてっ、世間一般的な話をしているんですっ!!」
そして斎藤博士と中島助手は漫才を繰り広げながら消えて行く。
なんというか、嵐のような人だよな……。
「ねぇ……東條様……っ。 これを少し見て欲しいのだけれど……っ?」
そんな事を思いながらラボとやらへ消えて行く二人を眺めていると、麗華が珍しく真剣な声音で俺に声をかけてくるではないか。
その麗華の普段出さない真剣な声音に俺は少しだけ嫌な予感がしながらも麗華が指をさしながら向けてきたスマホの画面を見る。
「どうした? …………はい?」
そこには、先ほどのテロリストとの戦いがいつの間にか盗撮されており、その動画がネットアップし、絶賛全世界でバズっている最中である事が分かる画面が映し出されているではないか。
コメントのレススピードと視聴回数の回転率が物凄い事になっているんのだが……。
◆
私こと的場依鶴は許せなかった。
あの日、私を死の淵から助けてくれた正義のヒーローを、ネット内で未だに『女性が男性に扮しているだけだ』だとか『どうせボイスチェンジャーとか使って声を変えているだけだろう。 嘘松』『嘘は嘘であると見抜けない人がまだいるとは……』などだけではなく『男性のそうであってほしという願望乙』や『普通に考えて男性がスレットと戦える程の魔術を行使できる訳がないでしょうww』に『戦っている所の鮮明な動画もなく、実際現場にいた魔術師の証言だけだと流石に男性だと決めつけるのは無理筋がある』などといった証言が溢れており、そしてあの日私を助けてくれたヒーローは男性に扮した女性であるという考えが圧倒的に多いというのが現状であった。
そして私は、そんな現状が許せなかったのである。
ではどうするか? 答えは簡単だ。
「だったら私が、私のヒーローは嘘でも何でもなく正真正銘嘘偽りなく実際に男性であり、ヒーローなんだという事をぐうの音も出ないくらいの証拠でもって証明してやるぜ……っ」
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