第74話 いらねぇーーんだわ
何が『突如現れた謎のヒーローっ!!』だっ!!
今までスレットから市民を守って来たのは私たち女性ではないのかっ!?
その女性である魔術師がスレットから市民を命がけで守ったとしても、今までこれほどまでに大々的に取り上げられた事があっただろうか?
私たち魔術師を馬鹿にするのもいい加減にして欲しい。
そもそも、どこの誰だか分からないのだが男性である以上、他の男性よりも魔力を多く持っており何らかの方法で魔術行使用媒体を使用できるようにしていたとしてもあれほどの威力の魔術を行使できる訳がないのである。
そこで考えられるのが、あの男性は恐らく他の女性たちから魔力を何らかの方法で補充していた可能性があるという事なのだが、テレビで流れている映像を観るかぎりそのような物を使っているようには見えないどころか魔術行使用媒体すら使っておらず、この映像が正しければ男性は『無詠唱』で魔術を行使した事になるではないか。
それがもし本当であれば魔術行使用媒体がないと魔術を行使できない私たちは何だというのだろうか。
それこそ今までの常識とプライドがまるで砂城のように崩れていくような感覚になってしまう。
「……許さない」
そう呟くと私は魔術行使用媒体を起動して魔術をテレビに向かって放つのであった。
◆
「…………なんで失敗しているんだ?」
「ご、ご存じかと思いますが、イレギュラーがありまして……」
「言い訳を話せと言っているんじゃねぇよボケがよぉっ!!」
「ぐっ……っ!! す、すみません……っ!!」
コンクリートを打ちっぱなしの壁でできたとある一室に男性を鞭で叩く音が響く。
ったく、せっかく我らが裏で資金援助をしていたというのに、所詮は男性という事か。 使えない。
「もういい……分かったからっ」
「か、寛大なご判断……ありがとうございますっ!!」
「何許されたと思っているんだよこの能無しがっ」
「……へ?」
「お前たちアンノウンが使えない連中っていうのが分かったって言ってんだよっ!!」
「そ、そんな……っ!! それでは我々アンノウンはこれからどうすれば……っ!?」
「あぁ、アンノウンは大丈夫だから心配しなくていい。 アンノウンという組織自体はまだまだ使いようはあるからな。 だが、ここまでお膳立てをして、スレットのスタンピードという運にも恵まれていたにも関わらず同じ男性、それもたった一人にやられてすごすごと尻尾を巻いて逃げて来るようなお前たちはいらねぇーーんだわっ。 残念ながら」
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