第65話 必ず王子様が助けにきてくれる
そして、流石に三回も顔面を殴られたらダメージも相当喰らっているようで、相手は起き上がる事もできずに地面に這いつくばり、それでも闘志だけは失っていないのか俺を睨みつけてくる。
「ど、どうしてだ……っ」
「あ? どうしてってどういう事だ?」
「ど……どうしてお前は俺たちではなく女性の肩を持つんだよ……。 俺たちは今まで女どもに虐げられてきた同じ男じゃねぇかよ……っ」
「何かと思ったらそんなものか。 くだらねぇ……」
相手は同じ男性である自分ではなく女性の肩を俺が持つ事の意味が理解できないと聞いてくるのだが、残念ながら俺はそういう思考になってしまうこいつらの価値観の方が理解できない。
その為俺が、相手の疑問に対して『そんなものか』と切り捨てると、相手はまさか俺からそんな突き放されるような言葉を投げられると思っていなかったのか信じられないものを見るような表情で俺を見つめてくる。
「く、くだらないだと……っ!?」
「あぁ、くだらねぇな。 理解したくもない。 男ならばこんな魔術行使用媒体を使えなくなるような卑怯な手段なんか取らずに正面から倒せないのですか?そうしなければ例え勝てたとしても『結局男性は魔術行使用媒体を使えなくしなければ勝てない存在』と思われるだけで男性の地位は少しも向上してないどころか更に見下されかねないだろ」
そして俺はそう言いながら相手を蹴飛ばし気絶させると、ロープで縛り上げ、反撃できず逃げる事も出来ない状態にしてその場から離れるのであった。
◆
私は信じていた。
「おめぇよぉ……っ! 面倒くさいからさっさとやられてくんねぇかなぁ? あとお前の仲間もしぶといみたいだからどうにかしてくれませんかねぇ? てか、防戦一方で遅延行為をするのマジで鬱陶しいんだがぁ~? 遅延行為をしても意味がねぇだろうがよぉ~っ!! 大槌千里さんよぉ~っ!!」
例え相手に遅延行為など意味がないと言われても、私には意味が無いとは思わない。
それは的場依鶴も私と同じ考えというか、必ず助けに来てくれると信じているのだろう。
いや信じているとかいう一方通行な思いなどではない。
あのお方が私を助けに来てくれるのは運命であるという方がしっくりくるだろう。
そう思えばこの絶体絶命のピンチな状況であっても頑張れるし、頬がにやけてしまうのを我慢できない。
「なんでこの状況でそんな表情ができるんだよっ!! お前ら頭おかしいんじゃねぇのかよぉ~っ!!」
「そんなの決まっています。 必ず王子様が助けにきてくれるからですっ!!」
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