第55話 強烈な快感


 なるほど。


 この男はこの間の、あの憎たらしい男性の魔術師がドラゴン型のスレットを倒した方法を今の私に対して行おうという訳なのね……。


 魔術で攻撃して相手の魔力が尽きるのを待つのとは違い、この男性たちは何らかの方法でもって私の魔力を吸い取っている訳なのだけれども、ドラゴン型のスレットと同じく魔力が尽きた時が命の終わりだろう。


 私が今まで助けてきた半分は男性である。


 人間半分が男性なのだから当たり前なのだが、その守ってきたはずの男性から裏切られては『なんで私は今までこんな奴らの為に戦ってきたのであろうか?』という気分になる。


 やはり男性は産まれてきた瞬間に拘束して精子だけ作る存在にするべきだと強く思う。


「さて、お前は何分耐えてくれるんだろうなぁっ!?」







 おれがいじめられ始めたのは小学生高学年くらいの頃だったと思う。


 理由は単純でクラスのリーダー的な存在の女子に歯向かったからである。


 その女子はクラスの男子をその日の気分で選ぶとその日イジメる対象にするという遊びをしていた。


 はっきりって俺ら男性からすれば、それはれっきとしたイジメだと思うのだが、その女子やその周りにいるクラスの女子、そして担任である女教師までも俺たち男子がいじめられている光景をみては腹を抱えて笑っている光景から見ても、彼女たちにとってそれはあくまでも遊びの延長線でしかなかったのであろう。

 

 そして、そのいじめの対象が俺になったとき、俺はクラスのリーダー的な女子からの命令を聞かず無視したのである。


 ちなみに無視した内容は『コップに入っている、雑巾を絞った水を飲め』という内容であった。


 しかも俺は無視をするだけでなく、コップの中の汚く濁っており、少し臭い水をその女子の頭からぶっかけてやったのだ。


 この時に感じた快感というのは今でも忘れられない程の、強烈な快感であった。


 しかしながら気分が良かったのはそこまでであり、当初既に周囲の女子と比べても頭一つ以上魔力保有量が抜きんでていたその女子に殴り飛ばされ、俺もやり返して喧嘩になったのだが、俺の倍以上の魔力保有量を持っており、魔術師として英才教育を受けているため小学生であるにも関わらず体内の魔力の使い方を知っている女子相手には手も足もでなかった。


 そこで俺がボコられて終わればまだ良かったのだが、運悪く俺とその女子が喧嘩をしている所で担任が次の授業の為に戻ってきてしまったのである。


 当然女性であり、普段からクラスの女子の男子いじめを一緒になって笑いながら容認している担任が俺の言い分を信じるわけが無く、ある事無い事嘘で固められた女子の言い分を全て信じ、俺は後日学校の応接室にて父親(母親は幼いころに死んでいる)と共にこの担任と件の女子、そしてその女子の母親へ謝罪(土下座を強要されたため土下座)をする羽目になった。

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