第54話 悟られないように誤魔化す
何故いきなり魔術行使用媒体が使用できなくなるのか分からないし、今まで一度たりともそんな事など起こらなかったのだが、相手の攻撃を避けなければ私の身体が真っ二つに切られる事だけは理解できるので、私は敵の攻撃を転がるように避ける。
「おいおいおいおいっ!! まだ学生とはいえ天下の魔術師様が男性である俺の攻撃を必死になって避けんぜっ!! 傑作だなっ!! まさかこんな日が来るとはっ!!」
「あらそう? それは光栄ね」
「そうやって強がっていられるのも今の内だけだぜっ!! まさか、魔術行使用媒体が起動しなかったのはたまたまだとは思っていないよなぁっ!?」
「……それはどういう事ですの?」
「おいおい、まさかここまでバカだとは流石の俺も思わなかったぜっ!! 普段から男性の事を見下して馬鹿にしているお前らが、ここまでバカだったとはなっ!! お前ら女性から魔術を取ったら何も残らねぇじゃねけかよっ!! てか、露骨に時間稼ぎしてんじゃねぇよっ!!」
「ぐっ!?」
そして私はわざと相手を調子づかせて時間を稼いでいる間に今できる事を確認した結果、やはり魔術行使用媒体は使用できないようである。
恐らくこの男性の言動からも、何らかの方法でもって魔術行使用媒体を使用できないようにしているみたいである。
いったいどうやって魔術行使用媒体を行使できないようにしているのかは分からないのだが、今そんな事を考えている暇はないので一旦その事については考える事を止める。
魔術行使用媒体を使用できない事は分かったのだが、逆に出来る事なのだが、魔力に関しては身体の内側であれば自由に行使できるようである。
この事に気付けたのはかなり大きいだろう。
これでひとまずあの男に切り刻まれるという事は無くなった。
「まさか、体内にある魔力は使えるから身体強化をすれば、魔力を帯びていない刀で切られる事は無いとでも思ってんじゃないだろうなぁ?」
「さぁ、どうだか?」
しかし、私の考えている事は相手に筒抜けであったらしく、言い当てられてしまうも、その事を悟られないように誤魔化す。
「まぁ、どっちでも良いや。 とりあえず良い事を教えてやろう。 今お前の体内にある魔力が一気に減っていっている事にそろそろ気付くと思うんだが、それはお前たちの魔術師の体内にある魔力を吸い取り、その魔力を原動力として魔術を行使できなくなる結界を作り出しているんだよっ!! そして、先ほどまでスレットと戦っていたお前たちはこの結界内だと五分も持たずに魔力が切れてしまうだろう。 その時がお前が死ぬ時だっ!!」
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