第56話 幼いながらも学んだ
その時に俺はこの世界の事を初めて理解できたと、今になってそう思う。
それまでの俺は幼いながらも『正義が必ず勝つ』と思っていたし、それが当たり前であると思った。
しかし、この件で俺は『この世界は正しさが正義ではなく力こそが正義である』という事を分からされたのであろう。
この、俺の中で忌々しい事件からクラスではランダムで男子を選んでイジメていたのが毎回俺になった。 そして俺はそれを仕方がないと思うようになった。
ここで『俺は悪くない。 アイツが悪い』『イジメている方が悪いに決まっている』などと、どれだけ泣いて叫んだ所で圧倒的な力の前では無力であり、そして俺の方が加害者になりイジメてくる女子たちが被害者の立場になるだけだ。
そんなバカな事があるかと思うのだが、それが今の日本、いや、世界の常識なのだから、一人のクソガキが叫んだ所でこの常識が覆らない限りどうしようもない。
そう俺は幼いながらも学んだのだ。
だから俺はこのクソったれた世界の常識をひっくり返す事にしたのだ。
あれから俺は、周囲からは『変人』『急にキレて暴れたのに被害者ぶる頭のおかしな奴』というレッテルを貼られ、奇異な目で見られながらも、歯を食いしばって耐え中学、高校を過ごし、東京大学を卒業した。
この世界の力は何も魔力総量+魔力コントロール力+身体能力+適正魔術行使用媒体の総合値だけで決まるものではない。
他には大手企業勤めや富豪なども力である。
勿論、魔術師と比べればどんぐりの背比べレベル競い合いでしかないのであろうが、それでも確かに底辺には底辺の力というものがあるのは確かである。
当然知能や知識に技術もである。
そして、俺の夢の為にはそういった力が必要であった。
この世界の裏社会には俺と同じ志を持つ者が集まっている裏の組織が存在しているのは、中学二年の頃には既に知っていた。
普通のネット検索では引っかからないので表の人間には都市伝説レベルでしか浸透していないのだが、ダークウェブの最奥まで潜れば、その組織は実際に存在し、そしてかなりの大きさである事も分かる。
今、俺がすることはまず、この組織に入団できるように男性でも手に入れる事ができる様々な力を手にする事である。
そう思い努力し始めた当初は、三年程度で向こうから声がかかるものであると思っていたのだが、それは俺の希望的な妄想でしかなく、結局大学を卒業しても声がかけられる事は無かった。
そして俺はそのまま魔術行使用媒体を研究して新しい魔術行使用媒体を作る一般大手の会社へと就職する事ができたのだが、男性の俺にとってこの職場は地獄でしかなかった。
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