第52話 ホッと胸を撫で下ろす
「それよりも貴女は大丈夫なのかしら?」
しかし、私たちAランクの実力を持つものであればいざ知らず、女性といえども一般人である運転手の方がどう考えても大けがを負っている可能性が高いため、私は声をかける。
「えぇ、シートベルトをしていたお陰で何とか大丈夫です……っ」
「そう、なら良かったわ……っ」
そして、運転手の怪我も大した事はないみたいでホッと胸を撫で下ろす。
「運転手さんには悪いのだけれども、この車を破壊しても良いかしら?」
「え、ええ。 かまいませんよ。 どうせもうこの状態であればほぼ間違いなく廃車でしょうし……学園側が補填してくれるかどうかは心配ですけれどね……」
しかしながらこのまま車の中に留まっている訳に行かないので外へと出る為に車を破壊しても良いかと運転手さんへ聞いてみると、かまわないと了承を得る事ができたのでそのままドア部分(横になっているので天井)を身体強化を施して力業で強引にこじ開ける。
「気を付けてください。 恐らくテロリストの類だと思われます」
「えぇ、心配してくださりありがとうございますわ……」
今一番大変なのは運転手さんであるにも関わらず私たちの心配までしてくれ、本当に良い運転手さんである。
このごたごたが終われば、学園に掛け合ってこの車の件は請求しないように私から言っておこう。
恐らく事が事だけに学園側も運転手さんへ請求するような事はしないのだろうけれども、言わないよりかはマシであろう。
「さて、スタンピードを阻止して町を守ってあげた私たちに対してこの仕打ち、後悔させてあげましょう」
「本当だぜっ!! これが普通の企業だったらとんだブラック企業だなっ!!」
「…………っ(こくこくと頷く)」
そして私たちは横転した車から出て周囲を見渡すと、旧式の軍服を着ている男性が三名、私たちの前に立ちはだかっており、その男性の前にはコンクリートブロックが大量に投げ捨てられているではないか。
恐らく運転手さんはこのコンクリートブロックの山に突っ込む事を避ける為にハンドルを切ったのであろう。
しかしながら、どうやってこのコンクリートブロックを、いくら緊急避難のサイレンが鳴っており、車の影どころか人影すら無いとしても、走っている車の前に、大量に投げ捨てたのか気になるところなのだが、今そんな事などどうでもいい。
それに、そんな事はここでこの馬鹿たちをとっ捕まえて軍に引き渡せば良いだけなので、私は必要ない事は考えず、ただ目の前の馬鹿どもを倒す事だけに集中すれば良いだろう。
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