第49話 不甲斐ない結果


 

 流石、腐ってもここ東京魔術大学附属魔術技術高等学園、学園魔術師ランキング一位の実力だという事だろう。


 むしろこれくらいの事をこなせなければ魔術師を育成する高等学校の中でもトップレベルの東京魔術学園で魔術師ランキング一位は取れないという事でもあろう。


 だからこそ、氷室麗華の判断に納得がいなかければ腹も立つ。


 しかしながら、この学園内ランキングは個々の強さではなく討伐したスレットの強さや討伐内容で判断されている為、私と麗華が一対一で戦った場合は間違いなく私の方が勝つ自信がある。


 故に今現在私の学園内魔術師ランキングが四位なのもより強いスレットに当たる事ができなかったという運の部分がやはり大きく左右されていると思っている。


 その為魔術師ランキングは討伐してきたスレットを参照にするのではなく、トーナメント戦などを実施して個々の強さで判断するべきだと思うのだけれども魔術師の仕事がスレットの討伐である以上は、このスレットを根絶やしにしない限りはランキングの仕組みは変わらないだろう。


 そして、もし個々の強さが反映されるのであれば学園、いや学生最強の魔術師は生徒会長の枢木楓であろう。


 生徒会長である枢木さんは生徒会長の仕事がある為スレットを討伐する機会がそもそも少ないので現時点では学園内ランキングは七位なのだが、それでも一桁内に入って来ているあたり化け物であると言えよう。


 特に三か月前に倒したスレットとの戦いは圧巻であったと言わざるを得ない。


 そして今回はスタンピードという事もあって枢木さんもスレットの討伐に参加しているのだが、まるで羽虫のごとくスレットを討伐していっているのが見える。


 やはり間近で見る枢木さんは動画で見るよりも数倍凄いと思ってしまう。


 それでも、私の方が強いと思えるレベルでしかなく多少がっかりではあったものの、それは動画を見た時から思っていた事なので『やっぱりな』と思う程度である。


 そう、私こそが明らかに学生最強であるのに当たるスレットの運がないために四位という不甲斐ない結果になってしまっているのだ。


 そんな事を思いながら私は、目の前のスレットを黙々と焼き殺し、消し炭にしながら討伐していく。


「おひさしぶりですぅ~焔さん~っ」

「お久しぶりですね、生徒会長……」


 そして最早作業と化したスレットの討伐中に、件の生徒会長である枢木さんが話しかけてくるではないか。


 いったい何が目的で話しかけて来ているのか皆目見当が付かない私は、少し警戒しつつ枢木さんへ返事を返す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る