第47話 無責任で、バカな女
確かに、今までは『どうやってこのいけ好かない女をギャフンと言わせてやろうか』と思っていたのだけれども、まさかこんな形で私と麗華の魔術師ランキング争いが終わるとは予想外であった。
そして、国家魔術師を目指す事を止める理由が怪我や病気など、どうしようもない理由であれば消化不良ではあるものの納得は出来たのだが『国家魔術師以外にやりたいことができたから目指すのを止めます』では納得できるはずがない。
それに、遠回しに『まだ国家魔術師なんか目指しているんだ』と言われているようにも感じて、正直言っていい気分はしない。
「…………あぁ、そう。 貴女とはこれから先良きライバルとして競っていくものだと思っていたのだけれども、見損ないましたわ。 もう一生私に関わらないで欲しいくらいよ」
「あぁ、それに関しては私も同じよ。 私もこれから先貴女とは切っても切れない縁であると思っていたのは確かよ。 けれどもそうじゃなかった。 ただそれだけだわ」
「まぁ、もう国家魔術師を目指さないというのならば貴女の事なんてどうでも良いのだけれども、今まで一緒に歩んできた仲間たちはどうするのかしら? いきなり国家魔術師を目指すのを止めますというのはチームを組んで今まで一緒にスレットと戦い切磋琢磨してきた仲間に対して失礼でなくて?」
私が麗華を見損なったのは自分勝手な言動もそうなのだが、その自分勝手な言動によって数年間の努力を無駄にされるかもしれない麗華の仲間たちに対してあまりにも無責任すぎるというのも含まれる。
なので私は麗華に彼女たちの事はどうするのかと聞いてみる。
「そうですね……確かに失礼であるとは思うし、彼女たちにも国家魔術師を目指す事を諦めてもらう事になるわね。 けれども私がどうして国家魔術師を目指す事を止めたのかちゃんと話せば彼女たちもきっと私と同じく国家魔術師を目指す事を止めて同じ目標に向かってまた一緒に歩んでくれると信じているわ」
そして麗華は自信たっぷりな態度で、まるでそうなるのが当然であると言わんばかりに『残されたメンバーも私の話を聞けば国家魔術師を目指す事を止めて、また共に歩んでくれる』とほざくではないか。
まさかここまで無責任で、バカな女であったとか思いもよらなかった。
「……そうですか、もういいです。 貴女にはとことん失望いたしましたわ。 もう少し頭が良いと思っていたのだけれども、まさかここまで馬鹿であったとは……」
もうこの女には何を言っても無駄であると判断した私は、これ以降麗華に話しかけるのを止めた。
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