第21話 逆に俺が衝撃を受けてしまう
マジで意味が分からない。
普段から俺に対して『話しかけてくるな』や『喋るな』、『私に関わるな』などと言ってきては俺を見下したような表情で言ってくるくせに、何で今日に限って『無視をするな』などと言って来るのか意味が分からない。
「……大丈夫かお前? 昨日まで俺に言ってきた事と真逆の行動を取っている自覚はあるのか? あれだったら救急車呼ぶか? 多分高熱でているせいでまともな判断ができなくなっている可能性があるぞ?」
「なっ…………そっ、それはっ……貴方が……っ!」
「俺がどうした? 何かしたか? 何もしていない上に一方的に罵られていた事は確かだとは思うが、俺からお前に何かしら危害を加えたり何だりとした覚えは無いんだが?」
まさか俺に言い返されるとは思っていなかったのか麗華は言い返そうとして来るのだが、実際に俺は何も麗華どころか女性に対して何も
そんな麗華を見て俺はここだと思い一気に責め立てる。
ここで引いてしまうと相手を調子付かせるだけなので言うべきところはしっかりと言うべきだろう。
そしてこれに懲りて、以降俺にちょっかいさえかけてこなければそれで良いし、もしちょっかいをかけて来るとしても『こいつは言い返してくるから面倒くさい』という感情を抱かせることができていれば多少はそういう面倒くさい絡みも無くなるだろう。
「そ、その件に関しては……いや、その件だけではなく今まで私が貴方に対して行ってきた数々の無礼を謝罪するわ。 勿論、謝罪したからといって許されるような事ではないとは思っているのだけれども、だからこそこれからは貴方に尽くしていきたいと思っているのっ」
「そうだろうそうだろう。 だけれども…………はい?」
そして、恐らくミジンコよりも遥か下の存在として見下しているであろう俺に噛みつかれたのだから氷室麗華は烈火の如く切れ散らかしてこの場は収集が付かなくなり、丁度いいタイミングで俺が適当に流しつつ謝罪をすればこれで終わりだろう。
そう思い待ち構えていたのだが、実際に麗華が俺に対して言って来た言葉の内容はまさかの『今まで麗華が俺に対して行ってきた行為への謝罪』であった。
俺が反撃する事で麗華に衝撃を与えるつもりが、麗華がそれを受け入れ謝罪をしてくる事によって逆に俺が衝撃を受けてしまう破目に陥ってしまったではないか。
そして、俺の今までの経験上氷室麗華という女性は男性に対して自らの罪を認めて謝罪をするような女性ではない事くらいは理解しているつもりだ。
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