第7話 言いたい奴には言わせておけばい


 むしろ『遅い』だの『のろま』だの『使えない』だの『これだから男は』などと言われた所で授業開始のチャイムはまだ鳴っていないので別に良いだろうと開き直る。


 遅刻した訳でじゃないので俺の成績に響く訳でもないのならば勝手に言ってれば良いし、言いたい奴には言わせておけばいいのである。


 そもそもネチネチと言って来るような奴を相手に『やめてくれ』と言ったところでやめてくれるわけがないので時間と労力の無駄でしかない。


 なので俺の人生にとってモブでしかない者達の戯言は左から右へと流しつつ机の上に置かれている銃型の媒体を遠目から確認する。


 恐らく机に置かれている媒体はUCP─1型又はUSP─1型であろう。


 まぁ基本的にはこの二つにはあまり違いは無く、拳銃式自動魔力装填媒体器であるのはどちらも同じである。


 この媒体は能力者の魔力を自動で媒体へ装填し、魔弾を連射できるという仕組みで、リボルバー式と違い自分で魔力を装填する必要がないのが利点でもありデメリットでもある。


 しかしながら素人へ勧めるのならば間違いなくリボルバー式よりも自動魔力装填式である事は間違いない。


 まぁ、俺にとってはそもそも媒体自体が必要ないのでどうでも良い知識ではあるのだが、それはそれこれはこれで攻撃に特化した機能美を有した物を見るのは魔術行使用媒体であろうが刀であろうが異世界の魔杖であろうが惹かれてしまい興味を持ってしまうのが男という生き物であり、俺が武器オタクであるとかそういう事ではないと、心の中で自分自身へ言い訳をしておく。


「全員揃っているかぁー?」


 そんな事を考えながら机の上に置かれている拳銃型の媒体を舐めるように眺めているといつの間にか授業開始のチャイムが鳴っていたらしく、科学を担当している教師である月上紅葉(つきがみくれは)先生が覇気のない声で面倒くさそうに全員揃っているか確認を取り始めるではないか。


 どうやら自分でも思っている以上に集中して眺めていたようである。


 ちなみに月上先生は少し暗めな紅色の長髪(手入れをしていないのかバサバサ)に、目の下にはクマを作り、白衣を羽織っており、胸は大きい。


 胸は大きい。


「全員揃っているようだな。 では、もう皆机の上の魔術行使用媒体を見て今日の授業について察しはついているとは思うが、一応今日の授業内容について説明していく」


 そして月上先生はだるそうな声音で今日の授業内容について説明をしていくのだが、やはりというか何というか今日の授業内容は机の上に置かれている拳銃型の魔術行使用媒体を使って数十メートルほど先にある的に当てるという授業のようだ。

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