第8話 違和感
ちなみにこの拳銃式自動魔力装填媒体器UCP─1型又はUSP─1型なのだが、並みの男性であれば三発前後、女性であれば十発前後、魔術師資格を持っている女性であれば数十発から数百発まで撃つ事ができる。
この数値からみていかに男性の魔力保有量が少ないかというのが窺えるだろう。
だからこそこの学園では男性を見下してしまう生徒が多いのだろう。
まぁ、そんな事は今の俺にはどうでも良い事だ。
取って食われるわけではない。
そんな事よりも早くこの拳銃式自動魔力装填媒体器を触ってみたい、使ってみたいという欲求の方が大きい。
一年の頃に何回か授業で使った事はあるのだが、やはりこういうのは何回であろうともわくわくするものである。
そして月上先生の話が終わったようでみんな的に向かって打ち始める。
「さてと……」
こういう時は『早く撃ちたい』という気持ちのまま撃ってしまったら大抵『もっと丁寧に打てば良かった』と後悔するものなので、興奮している感情を抑え、集中力を高めながら拳銃式自動魔力装填媒体器を触りながら機能美を堪能する。 どうやら今回の媒体はUCP─1型のようだ。
次に安全装置を外し魔力を注ぎ起動する。 するとこの種類の最大の特徴でもある魔弾が自動装填される。
うん、こういうギミックもワクワクするな。
そして魔弾は六発装填されたのだが、異世界へ行く前であれば一発装填されるだけで魔力保有量の最大値から三分の一程魔力を吸い取られたような(実際三分の一ほど吸い取られてるので当たり前なのだが)倦怠感に襲われたのだが異世界で急激に魔力保有量が増えた今となっては拳銃式自動魔力装填媒体器に魔弾が六発も装填された事すら、言われないと気付くことが出来ないくらいしか感じ取れなくなっているではないか。
はっきり言って今の俺であれば無限に撃つ事ができるような気がするし、実際できるだろう。
何なら自動装填に合わせて魔力の性質を変えて属性を付与する事も容易にできそうな気がするのだが、そんな事をして誰かに見られたりしたら面倒くさい事になりかねないのでここはグッと我慢する。
今はただこの媒体を使って魔弾を何発でも撃てる事を楽しもうではないか。
そして俺は科学の授業中、ずっと撃ち続けていたのであった。
◆
「うん? ここで撃っていた奴は……私の記憶が正しければ確かあの東條圭介だった気がするんだが……流石にこの弾痕の数は東條圭介ではなさそうだな……。 明らかに数百発を超えているからな……。 まぁ良いか」
科学の授業が終わり、生徒会長でもある私は月上先生の手伝いの為に呼びとめられてしまう。
その為修練場を片付けていた私はとある場所で違和感を覚えて立ち止まるのだが、自分が思う違和感の理由をあり得ないと一蹴する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます