第102話 決意
アルティメーターとの研修を終えた俺に入った連絡、それはとある粉物専門の店の住所。
その店に入った時、既に家族と叔母、それに何故かNo.2ヒーロー『ブルーエッジ』がすでに鉄板を囲っていた。
「あ、お兄〜。こっちこっち〜。」
天使よりも天使な笑顔で俺を席に呼ぶ凛樹。可愛い。
「悪いねー。勘定は私が持つからじゃんじゃん食べたまえー。」
そうご機嫌に笑いながらビールを一気に飲み干す女にバシバシと肩を叩かれ隣に座らせれる。
おい、凛樹と氷華から離れた場所じゃねぇか!!
「いやぁー、姐さんの息子がシャイニングマンとはねぇー!!」
そうご機嫌な女はNo.2ヒーロー『ブルーエッジ』。青白く光る刃と装甲、それが彼女の能力。
精製された刃は全てを斬り捨てる無敵の一振り、守る装甲は鋼鉄よりも硬く、且つ彼女に音速の速度を与える装置となる。
なにより、卓越した彼女の剣術はあらゆる能力を想定した実戦剣術。
No.2ヒーローに相応しい能力の持ち主であることは間違いない。そんな実力者。
「しっかし、アルティメーターとの研修ねぇー。姐さんに鍛えて貰う方が早いんじゃねー。」
グビグビとジョッキに入ったビールを飲み干しながら笑うブルーエッジ。
「
もんじゃを焼きながら殺気を放つ母。
「はい!!すんませんでした!!」
No.2ヒーローが土下座する。そんなNo.2ヒーローに再度殺気を向け、
「はい、乱鶯…あ~ん。」
もんじゃ用のコテに数回息を吹きかけ、甘ったるい声で父の口元に運ぶ母。
「歳を考えろよクソババア…」
思わずそんな言葉を漏らした。
「表出ろやクソガキィ!!テメェが誰の腹から出てきたか教えてやる!!」
「やってみろや色ボケババア!!」
店を出て始まった
「雑魚が…私に勝とうなど百年早いわ。」
ボコボコにされた俺を引き摺りながら言う母。
「百年経っても生きてんなら、ババアどころじゃねぇだろ…」
そう呟く俺。
「だったら早く強くなれ、バカ息子。私が安心して死ねる様に。」
盛大に地面に叩きつけられる。
「守ってやるさ…妹もアンタも…絶対に強くなる…」
夜空を見つめながらそう応えた。
「おい、乱鶯と岩穿を無視するな。」
ムッとした顔で母ちゃんが言う。
「男は守んねぇでもいいだろ。妹は死んでも守る。その次いでで母ちゃんも守ってやる…」
そう笑う俺にアイアンクローをキメる母ちゃん。
「まったく…可愛いなぁお前は。母ちゃんを守る?嬉しいこと言うじゃないか!!」
ミシミシと音を立てる頭蓋骨。痛みに悶える俺の頭は、
「強くなれよ…バカ息子。」
ムニュと柔らかい感触に包まれる。その感触が何か分かり…
「オメェに言われなくても強くなる!!離せ!!あと痩せろババア!!」
「よし、どうやら死にたいようだな。」
パキパキと拳を鳴らす母の拳は、2km離れた店まで俺をぶっ飛ばした。
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「光お兄ちゃんお帰り。」
口の周りにソースを付けた氷華が死地(ママの折檻)から舞い戻った兄に言う。
「あぁ…氷華…可愛い…宇宙一可愛い…」
兄はそう幸せそうに呟き眠りに落ちた。心配そうな氷華。
「ほっとけ、そんなバカ息子。」
戻って来た魔王に場が引き締まる。
「ママ!!」
さっきまで心配そうにしていたのに、兄を無視し魔王に駆け寄る氷華。
「ママ、氷華ちゃんとひとりで食べた。」
むふーっ。自慢気に空っぽになった皿を見せる。
「そうかそうか!!氷華はえらいなぁ!!…あぁ!!可愛い!!氷華は可愛いなぁ!!」
膝に座る氷華に頬擦りする魔王は、チラリと僕を見た。
「岩穿…お前はママが好きだよなぁ?」
「はい、大好きです…」
僕にはそう答えるしかなかった。
ポンポンと膝を叩く魔王こと母。乗れということなのだろう…
流石に恥ずかしい…
しかし、それ以上に怖い…
「母さん…」
「岩穿も可愛いなぁ!!あぁ…我が子は可愛いなぁ!!」
ヤケクソ地味た母の言葉。
「母さん…泣いてる?」
「泣いてない…私を誰と思っている。」
そう言い切った母はその後大好きなもんじゃを一口も口にしなかった。
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