第100話 ブルーエッジ

「お前ん家のヤバくね…」

 我が家の前に群がる報道陣を見てそう言う大椰。

「ヤバね~。ママ激オコじゃ済まないよね~。」

 青い顔をしてそう答える私。

「大椰〜、盾になって〜。」

「絶対ヤダ!!てか悪いの全部お前だろ!!」

 そんな押し問答をしていると、

「モッチーだ!!」

「囲め!!」

「逃すな!!」

 一気に私と大椰を囲むカメラとマイク。

「いや〜、言葉だけ聞くと性犯罪の現場だねぇ~。」

「お前、ホント危機感ないな…」

 

「はーい、そこまで。それ以上近づくと消しますよー。」

 そんな私たちを囲う様に空間を切り裂く青い一閃。

「この場はヒーロー協会の特別指定区域でーす。許可無き立ち入り、及び取材はヒーロー協会の名の元に『ブルーエッジ』さんが切り裂きまーす。」

 カチャ、と音を立てて青白い刀身の大鎌を肩に置き笑う女性。

「No.2ヒーロー、『ブルーエッジ』!!」

 そんな声が響く。

「お、『クリアF』こと、陸奥みちのく雲母きららもいるんだー。やっほー、きららちゃん久しぶりー。」

 そんな能天気なブルーエッジの声に顔面蒼白で必死に頭を下げるクリアFこと陸奥雲母。

「正直、アンタらがやろうとしてること、マジで洒落になんないんだよねー。」

 そう言って大鎌を地面に振り下ろした。

 グラッと揺れる大地に報道陣が体制を崩す。

「こんなもんじゃ済まないよー。てか、マジで地球がヤバい。マジで地球滅亡だからねー。あの人怒らせたら…」

 何故かブルーエッジさえ顔色が悪くなっていた。


「収録現場見てたけどー、いやー、流石姐さんの娘だねー。」

 報道陣を追い払った後、馴れ馴れしく私の肩を叩きながら言うブルーエッジ。

「ああ、ごめんねー、一応、私姐さんの自称舎弟?舎妹?だからー。あと、ヒーロー協会うんぬんはマジねー。」

 アッハッハと笑うブルーエッジ。

「つまり〜、元ヤンヒーロー?」

「そうー、元ヤンー。まあ、姐さんには遠く及ばないけどねー。」

 一層大きく笑う彼女から、なんか面白い話を聞き出そうとした。


「余計なこと言ってみろ、テメェの細胞1つ残さず消すからな。」

 恐怖の大魔王こと、私のママが舞風叔母さんを従えて殺気全開で現れた。

「姐さん!!ご無沙汰しております!!」

 土下座するブルーエッジ。

「ごめんなさいママ!!」

 そして土下座する私。

「ご近所さんの目があるだろうが!!さっさと家入れ!!」

 そう殺気を更に放ち言うママ。


「今さらご近所の目もないと思うんだけど〜。」

 盛大な拳骨が私の頭に落とされた。

「お前懲りないよな…」

 涙目の私に大椰は呆れた様にそう呟いた。






 

 

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