第80話 大人を知る高校生と大人(仮)
「行くしかないか…」
緊急出動を告げる連絡を受けた俺は、指導中の若きヒーローにそう言った。
「私が動くという意味をその目で見る方が早いだろう。」
そう格好つけて向かった現場。
「終わってるな。」
そう言う若いヒーロー。
「うん…そうだね…」
居た堪れない空気で俺はボソボソと言った。
「君のお母さんおかしいよね!!」
「あの程度なら、ウチのクソババアは通常運行だよ。」
俺の言葉に対し、シャイニングマンこと百道光は、自身の母親に対しそう言った。
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その日の夜のニュースで、首都を襲った泥はNo.1ヒーローであるアルティメーターを筆頭に、トップヒーロー達の協力で泥は消滅したと報道された。
ご丁寧に巧妙に編集された映像まで使用して。
しかし、我が家にとってはそれでよかった。
「凛樹…」
心配そうにベットに寝た娘の頬を撫でる妻の姿を見てそう思う。
真実は真実である必要はない。
真実は僕たち家族の平穏を奪うことになるから。
「では、全てアルティメーターを筆頭にトップヒーロー達と、シャイニングマンが行ったということで…」
「巫山戯んな!!俺は何もしてねぇだろう!!それでいいのかよ!!凛樹が…母ちゃんは…クソババア!!それでいいのかよ!!」
病室で怯えながら交渉を行ったヒーロー協会の職員に同意した神娘に、光が食って掛かった。
「黙れクソガキ…」
凛樹の頭を撫でながら、神娘は殺気を放つ。
神娘はその圧倒的な殺気をコントロールし、光と僕以外の全員を気絶させ立ち上がる。
「優しいな…光は…」
そう言って神娘は息子を抱きしめた。
「なっ…!!なにすんだクソババア!!」
「お前は誇りだ…母ちゃんは嬉しいよ…」
照れる光を更に強く抱き、その頭を撫でる神娘。
「でもお前も凛樹も…岩穿も氷華も…まだ子供だ…いや、私にとっては、一生私の子供だ。だから、守らせろ…それが親である務めなのだから…」
神娘の胸の中で、光はゆっくりと頷いた。
その結果、今回神娘の行った功績は、全てヒーロー協会の功績となり、そのお溢れを光が預かるという、光にとっては大変不本意な結果となった。
「入院と検査費用は協会持ち…当たり前だろうが!!これ、学資保険って下りるよな!!」
入院と検査費用の交渉を行う神娘は、今までで1番の殺気を放っていた。
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「アウト!セーフ!よよいのよい!!」
殺伐とした、街から隔離された様な区画にある酒場から、そんな男臭い声が響いていた。
ジーンズを脱ぎ捨てた美女に男たちは湧き立つ。
「ねーちゃん、まだ続けんのかい?」
さらしに股引、肩から背中に刻まれた鮮やかな入れ墨を晒す男は、向かい合う下着姿の赤髪の美女に言う。
「当たりめぇじゃ。負けるんが1番嫌いじゃけぇのぉ。」
恥じらいも見せずに笑い、酒を煽る美女は、
「おどれらこそえらいんとちゃうんかのぉ…俺ぁ余裕じゃけんど?」
そう徴発する。
「いい度胸や、惚れたで、ねーちゃん。」
男は笑って拳を握る。
「アウト!」
男の野太い声。
「セーフ!」
美女の声。
「よよいのよい…」
男の声に続き、
「よーいっ!!」
美女が拳を振り抜いた。
「おお、ぶっ飛んだのぉ…」
ケラケラと笑いながら、悪びれる様子もなく酒を煽る美女。
「な、なにしとんか分かっとるんかワレェっ!!」
男たちが一斉に殺気立つ。
「俺の下着見れたんじゃけぇ、採算合っとるじゃろ。」
笑いながら弾丸を躱す。
「一発は一発じゃけぇのぉ…」
爆風の爆乳ヤンキー、阿賀舞風はどこに行っても暴れる。
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