第41話 もう駄目かもしれない妹
「やはり桁違い…」
武生神娘の戦い(一方的虐殺)を見ていた私、アイギス・シュバリエは、彼女への評価を更に上方修正する。
そして、上方修正した結果、彼女は最強のヒーローも最強のヴィランも超越した何かという評価になる。
…勝てるわけがない。
それが導き出された答えだった。
仮に元世界一位のヒーローであるワンマンコマンドーであっても。
雇用主であり、嘗ては彼の
「諦めてくれるかしら…」
溜息混じりに呟く私。
武生神娘に御執心の雇用主を危険に晒さず、どう説得するかともう1つが私の課題となっていた。
「アイギス…お腹空いた…」
「その辺の草でも食ってろ!!」
もう1つは、この底無しの胃袋を持つ雇用主のバカ娘の対処…
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小学校…首相も輩出した超エリート一家に生まれ俺にとって、下らない時間を過ごす場所であった。
そんな小学校も、進学に特化した学校への受験をすることさえ許されず、庶民が通う学校に強制的に入学させられた不満しかない。
そんな不満しかない入学式。
真っ白な透き通る髪を靡かせ、キラキラと雪の結晶の様な粒子を振り撒く女の子が、俺の隣に座る。
退屈な校長や来賓の挨拶を聞く俺の肩に重みが加わると同時に、甘い香りが鼻孔を擽る。
「…ぅん…」
俺の肩にもたれ掛かり、微かな寝息を立てるその女の子。
入学式で居眠りする肝の座り方に言葉を失ったのもそうだが、なにより、その可愛らしい寝顔に思わず見惚れていた。
可愛い…
いやいや、俺は超エリート一家、百鬼の長男だぞ!!こんな庶民なんて…
巻き起こる葛藤と戦っているうちに、入学式は終わった。
それから、同じクラスとなった百道氷華を隙あらば見ていた。
誰とも群れず、1人でいる彼女は、ミステリアスで誰よりも美しく思えた。
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「氷華、宿題は終わった?」
モフ白と名付けられたペット(仮)にお説教される姉を見ない振りをしながら、妹にそう問う。
「終わった。モフ白のおかげ。」
そう言ってムフーッとやり切った感を出して言う氷華。
「うん、ペットは友達じゃないけど、良く出来てるんじゃないかな…」
妹の将来が心配になってくる。
イジメられてはいない様だけど、このままで大丈夫なのだろうか…
友達がいないし、欲しいとも思わない妹が心配で仕方ない。
もし、氷華がイジメられたりしたら、大変なことになるのは確定だ。
次世代のトップヒーロー候補である、シスコンの
そうなれば最悪だ。
そういう最悪の事態を想定し、僕は氷華に問うた。
「気になる子とかいない?」
「いない。」
そうノータイムで答える妹。
「…いつか、氷華の心を溶かす人がいればいいね…」
光兄さんに聞かれたら烈火の如く怒るだろうけど、僕は、妹に家以外の世界を知って欲しいと思う。
「ママよりも強い人なら気になる…」
そんなことを言った妹。
ああ、もうこの妹は駄目かもしれない…
そう思った大型連休の日だった。
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