第470話 いい加減泣いてもいいだろうか?
そして私が自分の感情により押しつぶされそうになったその時、急に外が陰り、非常に大きな風切り音と吹き荒れる風の音が聞こえて来た。
「どうした皆の者よ。そんな辛気臭い顔をしおってからに」
「す、スサノオさん。それにツキヨミちゃんも………」
「きゅいきゅいー」
恐らくまだこの二匹はフランお嬢様の現状を分かっていないのであろう。
いつも通りの雰囲気で窓から家の中をスサノオが覗き込み、ツキヨミがパタパタと部屋の中へと入ってくる。
「五日も音信不通であった為我からわざわざ会いに来てやったぞ。我妻であるフランはどこである?」
「きゅきゅいーっ」
「は?………五日ですって?」
おっと、聞き間違いでしょうか?思わず拳がでてしまうところでしたわ。
「何だ?違うのか?まぁ、我は何百年と生きておる故に多少の誤差は致し方ないであろう。老婆心ながら言わせて頂くのじゃが、そんな細かな事に目くじらをいちいち立てていては嫁の貰い手が見つかるものも見つからないぞ」
「五日では無くて五年ですこのバカトカゲっ!それと何百年も独り身のアドバイス等なんの価値もありませんっ!!!!!」
「ぐふぅぅぅうううっ!!?」
ただでさえアンナさんご乱心で忙しいと言うのにこの駄トカゲと来たら………普段であればドラゴンである事を威張る癖にわたしのか弱いパンチ一つでもだえ苦しむ様なフリをしてドミナリア家の庭を滅茶苦茶に荒らしてくとは。
「私のような風で折れるかの如くか弱い女性のパンチ一つで腹を抱えてもだえ苦しむドラゴンが何処にいるのですか?今あなたが滅茶苦茶にしていっている場所はドミナリア家の敷地内なのですが?これ以上ふざけるのならば本気で殴りますよ?」
「もう殴っているではないか………」
「今何か言いましたか?聞こえなかったのでもう一度言って貰えると助かるのですが」
「何もっ!何も言っておらぬっ!だから拳を握り殴る動作をするのを止めたまえっ!!」
まったく、これが竜などとは、竜界の面汚しというレッテルが私の評価としてスサノオに貼られた瞬間であった。
◆
「まったく、言ってくれれば直ぐに駆けつけてやったというのにお主らは、今まで一体何をしておったのだ」
「五日と五年を間違える様なトカゲに言われたくはございません。御託はいいからさっさとやりなさいこの駄トカゲ」
「きゅいきゅいーっ!」
「ツ、ツキヨミまでっ!?いい加減泣いてもいいだろうか?」
今現在、フランお嬢様の容態を説明するとスサノオは人型になって家の中へと入ってくるとフランお嬢様の部屋へとそのまま向かって行く。
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