第468話 この馬鹿共
「おいっ!そこのメイドっ!何をするかっ!!」
「はぁ………?、フランお嬢様にゴキブリが近づいていたので排除したまででございますが………?」
そして私によりぶん投げられたノア様はまるで猫の様に空中で体制を整えると華麗に着地を決め私へ抗議してくるではないか。
こんな事ならば一発鳩尾を殴ってからぶん投げるべきであったと私は反省する。
しかしながらノア様は一体何をもって私に抗議してくるのかは甚だ理解できない。
フランお嬢様に集る害虫は一匹残らず排除。
これは基本事項も基本事項、その中でも項目一に該当するような知っていて当然の常識であろうに。
「おいっ!!その、まるで『あぁ、虫が何か喋ってますわね』みたいな目で俺を見るんじゃないっ!!そもそも考えてもみよっ!!眠れるお姫様を助けるのは今も昔も王子様のキスと相場は決まっておろうっ!!もしかすれば人智を超越した何かが発動してフランの身体を元通りに戻してくれるかもしれないのだぞっ!!」
「そうですね。そんな事を真面目に考えて良いのは十歳までですよ。ノア様」
そしておつむの弱い、ではなく精神年齢が恐らく十の時で止まってしまったのであろう可哀そうなノア様の相手をしていると、私の横をレオは吹き飛んで行き頭から床に落ちるとそのまま頭でスライディングしていき、壁にぶつかった後『ドシャリ』と床へ崩れ落ちていく姿が見えた。
「二度目は無いと申しましたが?レオさん」
「ぐふっ………し、しかしだな、考えてもみてくれよウルとかいうメイドよ。眠れるお姫様を助けるのは今も昔も姫を守るナイトのキスと相場は決まっているんだぞっ!?」
「そうですね、よーく、よーーーーーーーーく分かりました」
「や、やっと分かってくれたかっ!?」
「レオさんを殴り足りなかったという事が、分かりました」
「え?いや、ちょっ!?ぐへぁっ!!?」
そしてレオが飛んできた方向を見ると、青筋を何個も額に作って仁王立ちしているウルさんの姿が目に入ってくる。
「まったく、男性陣は一体何をかんがえているのでしょうか?」
そんな彼らをみてアンナさんが溜息を吐きながらしみじみと呟く。
まったくもってその通りであるとしか言いようがない。
こんな時位自らの欲望は抑えて欲しいものである。
アンナさんももっとこの馬鹿共へ厳しく言ってやって欲しいと私は思う。
むしろそれですら言い足りない位であろう。
「そんなの、私のキスで一発で目覚めるに決まっています………ん?なんで私の肩を、潰れるんじゃないかって位の握力で掴んでいるのですか?メイさん、ウルさん。見て分からないんですか?私は今とても忙しいのですが?」
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