第442話 我々からすれば邪神に他ならない
何ひとつとしてフランお嬢様の言いつけを破ってなどいない。
これは屁理屈ではなく、魂に刻まれた、生きる上でやらなければならないと神(フランお嬢様)が定めた本能なのである。
故に、神(フランお嬢様)の為に生きて神(フランお嬢様)の為に死ぬのである。
そして、フランお嬢様が相対する聖教国が信仰する神はフランお嬢様ではないと言うではないか。
それだけなら、どれだけ祈ろうと手を差し伸べる事すらしない神など死んだも同然なのだが、その神という偶像に祈ると言うのならばいくらでもすれば良いとすら思う。
しかし、聖教国の教皇は言うに事を欠いて自らの事を『神』であるなどという戯言をほざきながら周辺国に宣戦布告をしていると言うではないか。
それは即ち我々からすれば邪神に他ならない。
ではどうするか?
そんな事など相手が神とほざいた時点で我々ブラックローズの答えは満場一致、異口同音で決まっている。
相手を叩き潰し、我々が愛してやまないフランお嬢様こそ神であると思い知らせる。
その答えに異論を唱える者等このブラックローズにいようはずがない。
これはまさに自称神(邪神)とフランお嬢様(我らが神)との聖戦である。
決して負けてはならぬ戦いがそこにはあるのだ。
アンナがその様な内容を、ブラックローズのメンバーをジュレミア邸の庭に集め声高々に演説すると割れんばかりの黄色い声が一気に沸き上がる。
その声はアンナの演説を肯定する言葉であり、今ブラックローズの士気は天井知らずでうなぎ登りである。
この流れを止める事が出来る者等いようはずがない。
それが例えフランであっても止める事は最早出来ないであろう。
「いいですか皆さん。興奮して突撃する前にフランお嬢様が口すっぱく言い続けていた事を今一度思い出してください。『一つ、ただし自分の命が危ないと判断した場合は直ちに戦線離脱する事。一つ、作戦よりも自分の命優先』を頭の片隅に置いておいてください。フランお嬢様の為ならば死ねるというのは皆同じかと思いますが、私たちが死んで一番悲しむのはフランお嬢様なのです。その事を忘れない様に、しかし確実に一匹ずつ敵を屠って行きましょう」
次にメイが注意事項を説明し終えると「「「おぉぉぉぉおおおっ!!」」と雄たけびに近い返事が返ってくる。
そしてついには泣き出す者まで現れるのだが、この光景を誰も突っ込むものはおらず、むしろそれが当たり前であると皆が皆思っていた。
「もし万が一けがをした場合はジュレミア邸まで即座に帰還してください。ジュレミア邸には回復魔術に長ける者を常時、複数人配属させておきます。また重症により身動きが取れずらい、又は難敵と出くわした場合は迷わずこの通信機器で知らせてください。近くにいるブラックローズのメンバーを即座に派遣致します」
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