第443話 ぷぷぷぷぷぷ
「「「「おぉぉおおおおおおおっ!!!!」」」」
そしてウルが負傷した場合を説明すると、八割が女性とは思えない様な雄たけびで肯定の返事が返ってくる。
その後も細かな箇所の注意事項やその対応方法などを説明していく。
その光景はまさにスタンピード前の魔獣の様な凶器さを孕んでいた。
正にブラックローズという大きな魔物がフランという強固な柵は無くなり自らの鎖を噛み千切ってこの世に解き放たれようとしている事を、フランは知る由も無かった。
◆
私は、この私の左腕を吹き飛ばした攻撃が来た方向を注意深く観察する。
しかしこの私に攻撃を当て、更には左腕を吹き飛ばせる程の威力がある攻撃ができる程の者である。
それ程の相手が早々尻尾を出すわけも無く、既に攻撃をした場所であろう所にはその様な強者の面影は無かった。
「さすが害虫だな。少し目を離した隙で姿を消すとは………っ!?」
「ち、外しましたか」
下に意識を集中していたその時、真上からとてつもない殺気を感じ取り咄嗟に避けると、先程まで私がいた場所に敵の攻撃が通り過ぎていくのが見えた。
そして、上を見上げると黒い仮面を被っているメイド服を着た女性が目に入ってくる。
今の攻撃を喰らっていたと思うとぞっとしたのだが、逆に今の攻撃を外したという事は敵は千載一遇のチャンスを失った事になる。
その事実に思わず口角がにやりと上がってしまうのも仕方のない事であろう。
これ程の羽虫であればこの私の実力をある程度は出せるであろう。
実に楽しみである。
「たしか、フランお嬢様の名言にこんな言葉があったはず。『数撃てば当たる』という名言が」
そして件のメイドは、恐らく銃という武器であろう杖の先を私の方へ向けて攻撃を仕掛けてくるも、攻撃の出所が分かってさえいれば超人の力を手に入れた今の私からすれば避ける事など造作も無い。
「ウロチョロウロチョロとまるでゴキブリみたいに動いて………いい加減諦めて観念なさい」
「やっと攻撃しても無駄であると気付いたか。しかし、もう遅い。観念するのは貴様の方である。この空中で神から頂いた翼があるこの私に勝てると思わない事だな」
「ぷぷぷぷぷぷっ。翼という補助がないと空を飛べないゴキブリが何か言っているわ」
いくら羽虫と言えど舐めた態度で周囲を飛び回られたら流石に腹が立つという物である。
たかだか羽虫如きに対して感情的にならないよう我慢してきたがもう、良いだろう。
「楽に死ねると思うなよっ!!この羽虫がっ!!」
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