第392話 アンナ様御乱心っ!
「こ、ここここっ、これ以上の事など想像しただけで私っ……無理ですぅ……キスでお願いします………」
一体何を想像したらあんなに顔を赤くできるのか気になる所ではあるもののそれをわたくしが無理矢理聞き出してまで叶えて差し上げるのは何だか違う気がしたため、アンナの要望通りにキスをする事にする。
「ではキスしますのでしゃがんで頂けますか?」
「は、ハイッ!」
そしてわたくしが指示をすると忠犬もかくやと素早い動作でしゃがんでくれる。
その意気込みは良いのだが、ギラギラと充血した目や何故か荒い息遣いは何故なのだろうと思いはするものの、わたくしの第六感がその事については決して触れてはいけないと激しく警告音を鳴らしてくるので気付かないフリをする。
「あ、アンナさん。恥ずかしいので目は瞑ってくださいな」
「は、はいぃぃぃいいっ!!」
しかしながらこの血管迸る目で見られるとこれはこれでやり難いのでアンナには悪いのだが目を瞑って貰う。
そして吸い付く様な、湿った甲高い音が部屋に響く。
「額にキスをしたのですけれどもほっぺの方が良かったかしら?アンナさ───」
「も、もう我慢出来ませんっ!!その唇はアンナが奪わせて頂きますっ!!んん〜〜〜〜グベハっ!?」
「「「アンナ様御乱心っ!アンナ様御乱心っ!」」」
「えぇーいっ!アサシン部隊が私とフラン様の邪魔をしないで下さいっ!!」
「すみませんっ!先に謝っておきますっ!アンナ様っ!」
「離せっ!はーなーせーっ!フラン様の唇を奪わせてっ………」
「さ、さすがメイ様特製の睡眠薬です………象も一撃で眠ると言われる効能は伊達ではありませんね」
「それって人間に使って大丈夫なの?」
「当然用法容量は守っていますよね?」
「あ、あー………アンナ様なら大丈夫でしょう。きっと。そんな事よりも早くアンナ様をお布団に寝かしてあげましょう」
えーと、一体何がわたくしの目の前で起こっているのであろうか?
そもそもいつからいたのか?
それよりもアサシン部隊とは何なのか?
アンナさんは大丈夫ですのよね?
「フランお嬢様、お騒がせして申し訳御座いません。それでは私達は仕事に戻らせて頂きます」
「ご、ご苦労様でしたわ………」
そして彼女達は軽い挨拶をした後、クローゼットの中、ベッドの下、天井の角へと各々何事も無かったかの方に戻って行く。
翌日、わたくしはわたくしの護衛にアサシン部隊を外すよう依頼するのであった。
◆
「アルビン様っ!今度は私と一曲踊って下さいなっ!」
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