第385話 有意義だと私は思う
「さて、ペットのご飯も出来た事ですし、私もご飯にしようかしら」
そして私は地面に転がっている二人の死体を見ながらそんな事を思うのであった。
◆
「ほら、御飯ですよ」
そう言いながら私は鉄でできた半径五メートルはある大穴へと先程の二人の死体を放り投げる。
するとその餌である死体へと一匹の、ムカデの様な大きな虫がスルスルと音も無く寄ってくるやむさぼり始め、肉を割く音と骨を砕く音が辺りに響き始める。
その音のなんと素晴らしい事か。
そんな素晴らしい音を聞きながら私は奴隷に運ばせた料理に舌鼓を打つ。
この素晴らしい咀嚼音があればどんな料理であろうと美味しく頂ける自信がある。
しかしながら、欲を一つ言うとすれば、やはり咀嚼音を聞きながら食べる料理は肉料理が好ましい。
一般的なエルフは肉料理というだけで眉を顰めるのだが、そんなものは単なる食わず嫌いにほかならないと私は思う。
何百年と生きて来ると変化という事柄に対して異様に避ける様になってくるのだが、それで死んでいくのは余りにもつまらない人生である。
そのつまらない人生を送る筆頭が現在の元老院であるのだが、つまるところ奴らをどうにかしなければ今のエルフをどうこう出来ないという事である。
せっかくエルフと言う、容姿に優れ魔術に長けた最も優れた人種として生きているのだから他種族を我らエルフの手足として調教して使うべきなのだ。
であるにも関わらず元老院達はその事に難色を示すばかりかこの私に向かって説教をするだけではなく、エルフは最も優れた人種であるという事まで否定してのけたのである。
しかしながらそこはやはり最も優れた人種であるエルフである。
私と同じ考えである同士が他に六人、それも各々魔術に関しては頭一つ以上ずば抜けて優秀な者達が揃っていたと知った時は、これは神のお示しであると歓喜に震えたのを今でも覚えている。
しかし、最終的には彼ら六名を出し抜き、その優れた血肉を私のペットの糧にしてしまえればどれだけ嬉しい事か。
結局のところ同士と言えど私自身ではない為意見が食い違う場面がでてしまう。
そんな場面になる度に私は『邪魔だ』と思うのだ。
ならば私のペットの糧になった方が有意義だと私は思う。
そんな事を思いながら、いまだ食事中の可愛いペットへと視線を向ける。
このペットは蟲毒で生き残ったムカデを二百年程愛情込めて育てたペットである。
当然魔力値の高い餌を与えると、その分ペットは強くなるのだから餌としてはエルフが一番である。
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