第359話 丁重にお断り致しますわ

そう、このジャリボーイであるアルビンは最後のメインキャラクター、いわゆるゲームで言う所の歳下枠なのである為極力避けるつもりだったのにも関わらず何故かこのアルビンに新学期早々絡まれているのである。


「お、おう。分かっていれば良いんだ。分かっていればな。しかし何だか馬鹿にされている気がするのだが気のせいだろうか?」

「気のせいじゃ無いぞ。コイツはそう言う奴だ」


そしてわたくし達の前にノア様がやって来たと思ったら、仮にも婚約者であるにも関わらずこの言い様である。


「あらノア様。自身の婚約者を捕まえてそんな事を言うとは、言ってくださればわたくしは何時でも婚約破棄を受け入れますわよ」

「する訳無いだろっ!この俺がお前との婚約に持ち込む為にどれ程の苦労をしたと思っている………んんっ、なんでも無いわっ!!」


(((ヘタレ王子め)))


一瞬クラスメート達の心の声が聞こえて来た気がするのだがきっと気のせいであろう。


しかし、わたくしを嫌っているノア様がわたくしとの婚約に持ち込む様にしたという風に聞こえたのだが、あぁ、成る程『お前との婚約のせいでこの俺がどれほど苦労しているのか分からないのか?』と言いたかったのでしょう。


まぁ、ノア様も人間ですもの。


言い間違いの一つや二つぐらいありますわ。


「わたくしとの婚約の|せいで(・・・)ノア様には苦労をかけてしまってすみませんね」


(((そして相変わらずの唐変木っ!!あんなに分かりやすいノア様なのにっ!!フラン様の唐変木さ加減もここまで来れば流石にノア様が可哀想っ!!)))


あら、何だかまたクラスメート達の心の声が聞こえて来た気がするのですが、きっと気のせいでしょう。


疲れが溜まっているのですわ。


今日は帰って長風呂でリラックスでも致しましょうか。


「フン、ノア様に愛想尽かされて捨てられたらこの俺様が拾ってやっても良いぞ?」

「いえ、丁重にお断り致しますわ」


そしてアルビンがまるでわたくしを捨て猫を拾う様な感じで宣うので即座にお断りを入れる。


そもそも、わたくしの事をババァなどと罵るアルビンが本気でわたくしを拾うなどと思ってもいない事など分かり切っておりますが、所詮はジャリボーイである。


わたくしの大人の色気を出せば一撃で虜に出来るのだが、メインキャラクターを攻略などという恐ろしい事など死にたがりの馬鹿がする事である。


「そうだぞ、この俺が折角手に入れたフランとの婚約を破棄する訳が無かろう」

「だが万が一という事も起こりうるのがこの世界だ。万が一このガキの言う様に婚約破棄されたのならばこの俺が面倒を見て───」

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