第353話 トドメを刺して来ても良いのですよ?
「それではお母様、行って参ります」
「ノア様のハートにトドメを刺して来ても良いのですよ?」
何を言うかと思えばお母様は物凄い上機嫌で空恐ろしい事を(ノア様を暗殺せよ)平然と言ってのけた。
今この場にノア様の草等がいようものならば我がドミナリア家は破滅への坂を転がり落ちるというのに、それが分からないお母様では無いと思う上に、皇族に対して恨み辛みを持っていないお母様らしからぬ言葉に何かの隠語では無いかと思うものの何も分からずじまいである。
そして分からない故にわたくしは胸騒ぎと共に気持ち悪い汗を背中でかく。
わたくしの第六感が激しく警告を鳴らしているのです。
わたくしにとっていい事を考えているとは思えない、と。
「でもそうね、愛する二人をせっつくのも無粋というものですわね。わたくしは遠巻きに見守っておりますわ。では行ってらっしゃい」
「「「行ってらっしゃいませ、お嬢様」」」
そしてわたくしは何かを呟いているお母様と感情のこもっていないメイド達に見送られながらメインキャラクター達と、最近巷で人気の喫茶店へと向かう為、ノア様の用意した無駄に豪華な馬車へと乗り込む。
雪を溶かした関係で道がぬかるんでしまっているとはいえ、この無駄に豪華な馬車はどうにかならなかったのかと思わずにはいられない。
「馬車を我がドミナリア家まで迎えに来させるって、一体全体どれほどの量の雪を溶かしたのですか?ノア様。前々から思っておりましたが本当に、人間をお辞めになって化け物になられたのですね」
「フン、褒めても何も出ないぞ?雪を溶かしたと言っても街中はそこまで積もっていないからな。それに俺が化け物だったらお前はどうなる?」
「あら、そこで何故わたくしがノア様と比べられなければならないのでしょうか?魔力量で言えばノア様は既にわたくしの三倍は多くてよ。それと、先程の問いに答えるとするのならばそうですわね、可憐な乙女とでも言いましょう。あぁ、風が吹くだけで折れてしまいそうですわ」
「では、フラン様が折れてしまわない様にわたくしが支えてあげますわ」
「「あげますっ!」」
「「………」」
そしてミシェル様、リリアナ様、シャルロッテさんが折れない様にわたくしを抱きしめてくれ、そのやわらかな感触に思考がとろけそうになる。
しかし、物分かりのいい女性陣と違いノア様とレオは「どの口が言ってんだよ」という言葉を目線に込めて見つめて来る。
まったく、これ程までに可憐な乙女を前にしてその視線は失礼でしてよっ!
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