第283話 わたくしか弱いんですの
仕方ないんですの。
ちなみにお母様の目線からは「ノア第二王子様の前でその様なだらし無い姿を見せたら殺しますわよ」と言うお母様の思考が感じ取れる。
「フランっ!逃げるぞっ!」
「黒竜がこっちに来やがるっ!」
「フラン様っ!早くお逃げ下さい!」
そして我が家のメイドを押し退ける様にノア様、レオ、シャルロッテさんがやって来るや否や開口一番逃げる様にと叫ぶとわたくしを逃がそうと、ノア様とレオがわたくしの腕を掴み、シャルロッテさんがわたくしの背後に回り背中をグイグイと押して来る。
あぁ、そんなに強引にされてはわたくし折れてしまいますわっ。
ほら、わたくしか弱いんですの。
しかし、ノア様達メインキャラクター御一行はか弱いわたくしを尚も強引に連れ出そうとするではないか。
これ以上は流石のわたくしも怒ってしまいますわよ?
「待って下さいましっ!!皆様勘違いをしておりますわっ!」
「何を勘違いしていると言うのだっ!実際ココへ来る道中、かなり遠くの方ではあるが既に目視で姿が見える程の近くにいる事をこの目で確認しているのだぞっ!あれ程の大きさの竜種であれば後十分もせずとも此方まで来るであろうっ!急ぐぞフランっ!!」
「ですからわたくしの話をお聞きなさいと言っているのですっ!流石に怒りましてよっ!」
そして余りにもわたくしの言葉を聞こうとしないメインキャラクター御一行を思わず怒鳴りつける様に叫び、彼らも何とか連れ出す事は一旦止めてくださったみたいである。
それと同時にわたくしの後ろで怒りのオーラと共に扇子が勢いよく開く音が聞こえて来るのだが今は気にしないでおく。
わたくしの勘が正しければ、わたくしの後ろには鬼がいるという事は分かっておりますのでわざわざ振り返るまでもないでしょう。
ただ、この後恐らくノア様に怒鳴ってしまった事についてこっ酷く叱られるだけであり、今現在はノア様が居るからこそその鬼は叱るという行動には移さないのであろう。
はっきり言うと恐ろしい事には変わりないのであるが、今はこのメインキャラクター御一行へあの黒竜は問題ない旨を伝える事が先決であろう。
「し、しかしフラン、黒竜であるのだぞっ!?」
「ですからその黒竜は大丈夫だと言っているのです。そもそもあの黒竜はわたくしが呼んだ黒竜ですもの。恐る必要など御座いませんわ。ねぇ、ツキヨミ?」
「きゅいーきゅいきゅいー」
「「「……………………は?」」」
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