第271話 わたくしに合った武器


しかしながら、わたくしに一番合う武器ってやはり日本刀であろうか?やはりそうですわよね。


そこは日本刀一択しかあり得ませんものね。


私が今手にしているなんちゃって日本刀擬きではなく、ちゃんとした本物の日本刀を手にする事が遂にできるのですわねっ!!その事を想像しただけで心躍りますわっ!さぁ、槍よ、その姿をわたくし専用の武器へ変化しなさいっ!!


もはやクリスマスのプレゼントを前にした子供の様な気持ちでわたくしはスサノオから手にした黒槍を、期待と興奮を込めた視線で見つめる。


そして数秒ほど経った後、黒槍は眩い光と共にわたくしの手にフィットした、それはまるでわたくしの身体の一部の様な感覚を感じさせる武器へと変化していくのが手に取るように分かる。


やはり、日本人として日本刀は心で通じる何か、それこそ産まれ変ったその時よりわたくしの血に流れれる日本人としての記憶があるからこそ、わたくしはこの武器を体の一部のように感じてしまうのですわね。


そして黒槍から光が消え、わたくしの手元に、わたくしに合った武器へと変化した武器が露わになる。


「………………………………………………………………ハリセン?」



あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!



わたくしの手元には黒い、かつ見事な装飾をされたハリセンが現れたではないか。



な…何を言っているのかわからねーと思うがわたくしも何をされたのかわからなかった………………。


頭がどうにかなりそうだでしたわ…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてございませんわ。


もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分ですの………………。


これは何の冗談であるか?この武器には思入れも何も御座いませんのでいっそのこと壊してやりましょうか?


そう強く強く壊しますわよと念じる。


ついでに、仰々しい説明の割には持ち主の希望する武器にすら成れないのかと見下してやる。


するとその武器はまるでわたくしの思考を感じ取ったかのように渋々といった感じでハリセンから漆黒の日本刀へと姿を変えて行くではないか。


「あら、やれば出来るではございませんか。流石、伝説と謳われるかもしれない武器ですわね」


そして今度はわたくしの願い通り日本刀へと変化してくれた武器へ賞賛の言葉をかけてやるとそこはかとなくまんざらでもない、といった感情を感じ取る事が出来るではないか。


こ、これはもしや………。


「ちなみにスサノオ、この武器は作って何年経ちますの?」

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