第261話 お嬢様はやはり美しい


まぁ、わたくしからすれば男性陣にもこの肉体美を見せつけてやりたいくらいなのだが、それはまたの機会に取っておくとしよう。


「おっ、お嬢様はやはり美しいです………っ」

「帝国のお姫様なんかよりも美しいですっ!」


そしてウルとメイがわたくしへ絶賛の言葉を紡ぎながら男性陣へアンナが施した黒魔術を解術されない為に、白魔術の付与を二重に施している姿も見える。


これ、大丈夫ですの?その解術されない為の付与すら二重にかけた同魔術により解術されない様になっているのですが、解術する方法は御座いますわよね?信じて良いんですよね?


「何っ!可愛いのかっ!シャルロッテっ!?俺も見たいぞっ!見たいというのに何故だっ!?何故何も見えないんだっ!!真っ暗で何も見えないっ!!」

「おい誰だっ!この俺の視界を魔術か何かで遮っている者はっ!?何も見えねぇじゃねぇかよっ!!」

「お、俺は別に見たとは思いませんが、勝手に他人の視界を奪うのはどうかと思いますよ。今賊に襲われでもしたらどう責任を取るおつもりですか?………あれ?解術出来ない………おかしいですね。これではフラン様の下着姿が見えない、ではなくて不測の事態に対処出来ないではないですか。むしろ今がある意味、良い意味で不測の事態が目の前で広がっているのですっ!!」


そして、それでもなおわたくしの水着姿を見ようとする者達のなんと浅ましいものか。


なんだか一生このまま男性陣の視界は奪ったままでも良い気がして来たが、そこはやはり女神と謳われても仕方の無いわたくしである。


そこはちゃんと解術してあげましょう。


もちろんそこは海を堪能した後でございますわ。


え?それでは遅すぎるですって?解術してもらえるだけありがたいと思って頂きたいものである。


遅いと思うのでしたら自分で解術すれば良いのですわ。


しかし、海を堪能できたのは前世を含めていつぶりであろうか?


もちろんドミナリア家では夏休みになると毎年ここへ来てはいたのだが釣りをしたり海を泳いだりといった事はしなかった。


我ながら澄ましたクソガキだったとも思うが、ドミナリア家に産まれればそれも仕方無かったと言えよう。


今だからこそ分かるのだが、あの頃のわたくしは『庶民がするくだらない遊び』と思っており、そしてもちろん公爵家の娘であるわたくしが庶民が遊ぶような遊びはしないものである───と考えていたのである。


それこそ、今でこそあり得ないと一蹴出来る考え方なのだが、あの頃はそれが当たり前であり、世界の全てだったのである。

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