第260話 可愛い物は可愛いのである
そして、たった数滴紅茶が溢れただけのワンピースであるのだが、
「あら、大丈夫で御座いますわ。汚れてしまったのでしたら今此処で脱げば良いのですから。幸いワンピースですので簡単に脱げましてよ。ワンピースの汚れはアンナさんが染み抜きしてくれますでしょうし」
「すみませんお嬢様っ!そ、そそそ、それだけはご勘弁をっ!私が悪かったですっ!本当にすみませんっ!私の首が飛んでしまいますからっ!物理的に私の首が飛んでしまいますからっ!」
そしてわたくしがワンピースを脱ごうとした瞬間、メイド長のリーシャが顔を真っ青にしてわたくしがワンピースを脱ごうとするのを辞めるよう懇願してくる。
それはまるでわたくしの身体が貧相である為人様に見せれるレベルではないと言われてるみたいではないか。
そこまで言われて脱がないのは女恥、むしろ持たざる者だからこその肉体美を見せつけてやろうではないか。
「お嬢様………」
そしていざ脱ごうとした瞬間、アンナに両肩を掴まれ、アンナもまた真っ青になった顔を横に振りながらわたくしへワンピースを脱ぐのは辞めるように懇願してくる。
解せぬ。
「フランお嬢様、異性と言うケダモノが三匹もいる場所で下着姿になるのは私も辞めておいた方が………いや、間違いなくケダモノの視界に入っただけで汚れてしまいますので何卒お辞め下さい」
「ですがアンナ、このワンピースの下に着ている物は水着と言って他人に見られても良い、いわば布面積の少ない洋服みたいな物で、全然異性に見られても恥ずかしいものではございませんわ。もちろんわたくしの胸もですわっ!」
そしてわたくしはそのまま勢いでワンピースを脱ぎ去り、フリルのついた、自作の白いビキニ姿を見せつけるようにポージングする。
「か、可愛いですっ!!フラン様っ!」
「あの水着?のフリフリも可愛らしいですわっ!」
「それに、スレンダーでしなやかな肉体もお美しいですわ………」
そのわたくしの水着姿にシャルロッテさん、ミシェル様、リリアナ様が絶賛してくれる。
やはり可愛い物は可愛いのである。
それはすなわち、それが例え異世界であろうと正義なのである。
「あぁ、フランお嬢様、お美しや………」
そんなわたくしの姿を見たアンナは、先程までの顔面蒼白な表情など一瞬で消え去り、逆にわたくしの水着姿に興奮を隠しきれていないようである。
しかし、そんなアンナなのだが、キッチリ闇魔術を行使して男性陣の視界を奪っているのだから中々に優秀である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます