第255話 あんな奴らでもわたくしの家族
と、言いますかこのリーシャに至ってはもう色んな意味で諦めている。
あの目は何かしらの信念を持っている者の目である。
わたくしの経験上、そういう者は強い。
しかし、そこはメイド長である。
わたくしの素の対応は他のメイド達には伝えていないらしく、依然として他のメイド達はわたくしを恐れている。
その点に関してはセバス含めて素直に感謝をしていたりする。
もし他のメイド達にバレた場合、どう考えてもそのまま家族にバレてしまうであろう為、そうなってしまってはわたくしはこのドミナリア家を出て行く必要があるからである。
そして、その場合は当然学園も辞める事になる。
あんな奴らでもわたくしの家族なのである。
選民思想、貴族至上主義、この一点さえ目を瞑れば本当に良い両親と兄なのである。
最後の最後、全ての可能性や方法を持ってどうしようもないと判断するまでは、わたくしはあの者達の家族でありたいのだ。
確かにわたくしの家族はジュレミアやコールドウェル家の様に違法な事はしていない。
していないとしてもである。
それでも、ホント、どうしようもなく、我ながら甘いと思う。
海外のお土産品で良くある、歯が溶けるのでは?と思ってしまいそうな程のチョコレートよりも甘い。
身内、家族に甘くて何が悪い。
しかし、だからこそやる時は徹底に、庶民に堕とすまでやるつもりである。
そんな事をわたくしが思っている間、アンナがテキパキとご飯を炊く準備を始め、メイやウルがお魚を捌き始めている為、わたくしもお魚を捌く事にする。
と、言っても全て大名下ろしなのは許してくださいまし。
前世、一人暮らしの時は節約の為魚は基本的に釣っていたのだが、釣れた魚を大名下ろしで三枚に下ろしてアラで出汁を取ったり、小さな魚は骨煎餅にしたものである。
ちなみに本日はこのアラで出汁を取ってアラ汁を作るつもりである。
丁度打ち上げられた昆布も手に入れましたし魔術で一気に乾燥させて出汁ように加工する。
やっと、ちゃんと出汁を取ったお味噌汁が飲めるという事だけでも嬉しさが込み上げて来るというものである。
この世界ではどちらかと言うと西洋寄りな為に海藻を食べる文化、そして出汁という文化が無く、今までは魚を具材に入れたりイノシシ肉を入れ何ちゃって豚汁にして誤魔化し誤魔化しやってきた
そもそも前世でも海藻をメジャーな食材として食している文化がある国は日本くらいではないだろうか。
外国人に至っては海藻を消化する事ができず、消化できる人種は日本人だけみたいである。
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