第254話 脳筋の事など考えただけ無駄ですわ
そして、メイド長であるリーシャがキビレ鯛を釣りあげ、開いたばかりの私の傷口に遠慮無く塩を塗りたくって来る。
これは狙って塩を塗りに来ている様な気もしないでもないのだが、きっと気のせいであろう。
メイド長と言えど我がドミナリア家を恐れていない筈がない。
それはさておき、わたくしだって鯛の一匹や二匹見事に釣り上げてみせますわっ!!
◆
おかしいですわ。
これは何かの陰謀の臭いが致します。
それこそ神のクソ野郎が何かしたに違いない。
でなければこの様な結果などあり得ない。
あり得てはいけないのである。
「この勝負、俺の勝ちだな。フラン」
「ぐぬぬぬぬぬぬっ!!」
わたくしが脳筋であるレオに負けるなどという事はあってはいけないのである。
決してっ!!
ほら、ベラ釣りでしたらむしろ圧勝でしたし?わたくし。
「ほらっ!フラン様っ!!私が釣ったお魚さんを差し上げますからっ!!レオもレオでフラン様をイジメて何をしたいのですかっ!?」
「「わたくし達のお魚さんも差しあげますわっ!」
あぁ、第三者から見れば今のわたくしはレオにイジメられている様に見えるのですわね。
そして、シャルロッテさん、ミシェル様、リリアナ様の気遣いで余計に惨めな気持ちになってくる。
「なっ!?俺はフランをイジメてなどいないっ!!って、なんで泣きそうになってるんだよフランっ!」
「な、泣きそうになどなっておりませんわっ!!」
「かわいそうなフラン。俺の胸を貸してやるから、怖いレオの事など放っておこうな」
「いけませんノア様。フランお嬢様に触らないで下さいませ」
「「くださいませ」」
そして、わたくしのその表情を見たレオが心配そうに、そして自分は悪くないというニュアンスも含めて聞いてくるのだが、わたくしが泣いていないと言えば泣いていないのである。
ちょっと潮風が目に染みているだけですわ。
あと、ノア様はなにさり気無くわたくしの肩を抱こうとしているのかしら。
そんなノア様からアンナ、メイ、ウルが鉄壁のディフェンスを見せる。
なんだか、その光景を見てると脳筋如きに悩んでいる事などどうでも良くなりましたわ。
そうですわ。
脳筋の事など考えただけ無駄ですわっ!
「フランお嬢様、準備が整いました」
「 ありがとうございます、リーシャ」
そんな騒々しい雰囲気の中、メイド長であるリーシャが野外炊事の準備を終えたらしく、労いの言葉をかけてあげる。
このメイド長であるリーシャなのだが当初こそ、偶にわたくしに対して失礼な態度をする度にドミナリアとしてわざとキツく当たっていたのだけれど最近はもう普通に接していたりする。
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