第252話 未だ悪役令嬢している気がしますわね

そしてわたくしの奴隷達の暴走を何とか食い止めつつ三十分程の時間が経った。


あぁ、なんでしょう。


労せず欲しい物が我が手の中に集まっていくこの光景。


正に悪役令嬢してますわねっ!わたくしっ!


ですが、働かざる者食うべからずだと思いますので流石にわたくしもミミズ取りへと加わる。


そしてわたくしはセバスに教えて頂き、用意して頂いた黄色い液体をメイド長から受け取るとそれを腐葉土の周辺へ、落ち葉を退けてから撒いていく。


すると、どうだ。


ミミズが自ら這い出て来るではないか。


セバス曰くカラシを薄めた水を撒くとミミズ自ら這い出て来るとの事なのだが、正直言って半信半疑ではあったものの、流石年の功と言った所である。


伊達に百歳も取っていないという事であろう。


お婆ちゃんならぬお爺ちゃんの知恵袋様様である。


…………依然、他の者は身を粉にして集め、わたくしは労せず手にする。


あれ?未だ悪役令嬢している気がしますわね。




そして更に三十分。


皆様のお陰もあって大量のミミズが手に入った。


海という事もありミミズでは海水の浸透圧などによりイソメやゴカイなどと比べたら早くダメになるとは思うのですが、この量でしたら数日は餌には困らないであろう。


そして当然の様に人数分の釣り竿に仕掛け。


もう驚きませんわよ。


ええ。


しかし、お母様はわたくしの事を心配して下さるのは分かりますがアンナやメイ、ウルも居ますのでメイド長をわざわざ側付きとして寄越さなくてもよいですのに。


え?わたくしの身が心配なのでは無くてわたくしの御転婆が過ぎる行動を心配されていたと?解せぬ。


わたくし程の淑女となるとなかなか居やしませんわよ。


え?確かに釣り竿と園芸用コテを手に海に来る淑女はなかなか居ないですって?やはりメイド長もそう思いますわよねっ!!


しかしこのメイド長、最近物怖じしなくなった様な、あえて罰を与えてられそうなギリギリのラインを攻めている気がするのは気のせいであろうか?


まさか、アンナ同様にわたくしの奴隷に自ら成りたいと思っているのでは?


そこまで考えて、その考えは無いとわたくしは結論付ける。


そもそも本当に奴隷となりたいのならばギリギリのラインを責めるのでは無く初めからレッドラインを超えて来れば良いのですもの。


しかし、フランのその考えは当たっており、最近多くなった中途半端に不敬な態度はフランへのアピールでは無く、セバスに悟られないギリギリのラインを見極めているからである事に結局は気付けないのであった。

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