第250話 成る程、成る程


ゲームでは出会うはずのメインキャラクターと隠しキャラクターがいるという光景、そしてどうやって入手したか分からないのだが、その情報を知り得てわざわざわたくしの元まで来るという事実に神とやらはどうしてもわたくしをどうにかしたいという執念の様な物を感じ取れてしまう。


その事に対して恐怖しないわけがない。


「この度我がベーカー家は皇帝様より男爵位を授与されまして、それに伴い違法奴隷の一斉摘発により爵位を剥奪された貴族の土地を賜ったのですが、その土地がブンゼント領でした。そしてブンゼント領の直ぐ傍にあるプライベートビーチがドミナリア家の物あると知ったのが、二ヶ月前にドミナリア家当主より、『プライベートビーチを使うのでこの期間に滞在している者達は不法侵入者とかではないので気をつけてください』というニュアンスの手紙を頂きました時で、フラン様がここを訪れるという事を知ったのです。それと、生徒会ですが山場も何とか超えましたので今のところ大丈夫です。御心配ありがとうございます」


成る程、成る程。


要はお父様がお隣の領主様へビーチを使うから宜しくと言うお手紙をお送りしていたという事ですわね。


あれから何とかお父様を説得に説得し、どうにかノア様の婚約を何とか婚約候補にまでする事が出来た矢先だと言うのに、わたくしの平穏な日々はまだまだ先みたいである。


「ねぇ、兄さん。やる事無いんだったら僕はホテルに戻っているからね」

「あ、こらっ!」


そんな時、10歳くらいの男の子がつまらないと態度に示しながらオズウェル様へ言い放つとそのままどこかへ行ってしまう。


「俺の弟が無礼をしてしまいました事を謝罪致します」


「全然構いませんわ。可愛い弟さんですね」

「………ええ、そうですね」


オズウェル様の弟さんは六歳前後であろうか。


その年頃は遊び盛りであろうし、こんな歳の離れた他人達と一緒にいては気疲れしてしまい、その不満が遊びたいという欲求へとダイレクトに移行されたのであろう。


それはそれで可愛い年頃であるとわたくしは思いますわ。その分、腹が立つ事も多いでしょうが。


そして、そんなわたくしの言葉にオズウェル様は少し考えた後に肯定する。


その微かな違和感に、わたくしも家族との間には思う所、主に貴族至上主義ですとか貴族至上主義ですとか貴族至上主義ですとか色々とございますし、オズウェル様も色々とあるのであろう。


その事について詮索するのはマナーとしてどうかと思う為、あえて気付かないフリをして流す事にする。

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