第249話 脳筋の癖っ!


しかしながら将来断罪の可能性が高いわたくしと一緒にいるよりかは、ノア様御一行と一緒にいる方がどう考えても良い事なのは理解しておりますのでわたくしからは何も言いませんわ。


それに、ミシェル様とリリアナ様はノア様の事が大好きである事は長い付き合いでございます為、ノア様から誘われでもしたのならば断れないという事も分かりますもの。


「どうしてって、私達、フラン様が夏休み中はここで過ごす事を事前に知っておりましたから先に来てビックリさせようと思ってましたっ!!」

「………は?」


そしてわたくしの問いにシャルロッテさんが悪戯が成功した時の様な、思わず頬っぺたを摘みたくなってしまいそうな無邪気な笑顔で答えてくれる。


サプライズで喜ばそうとしてくれる気持ちは伝わってくるものの、これはこれで悪戯でもありますものね。


この笑顔ひとつで並みの男性であれば一発で惚れてしまうであろう破壊力は間違いなくある為、レオがシャルロッテさんに一目惚れしてしまうのも仕方の無い事であったのであろう。


そして、ミシェル様とリリアナ様がわたくしの事を嫌いになったとかでは無いと知って、分からないように安堵のため息を吐く。


しかし何故わたくし達一家がこの夏休みの時期にブンゼント領の直ぐ傍にあるプライベートビーチで過ごすという事を知り得たのであろうか?


そもそもこの地域一帯は我がドミナリア家の所有地であるのだ。


我が家族が他人に漏らさない限りノア様御一行にも伝わらない筈である。


「その表情、どんな表情か当ててやろうか?」


そんな事を思っているとレオが脳筋の癖に無駄に偉そうに問うて来る。


「何故フランの居場所を知り俺たちが先に来れたのか不思議で仕方ないという表情をしているんだろ?どうだ、図星だろ?」


そしてレオは先程の仕返しとばかり意地悪そうな笑みで話す。


それがなまじピンポイントで当たっている為思わずイラッとしてしまう。


「そ、そんな事ありませんわっ!!」


く、悔しいっ!!脳筋の癖っ!脳筋の癖に!


「こらこら、レオさん。フラン様をイジメないで下さい」

「お、オズウェルさん………なんでここに、生徒会の仕事はよろしいのですか?」


そんなレオを諌めるのは『君恋』の隠しキャラクターである我が帝都マルギス学園、その生徒会長であり帝国一のホテルグループ、ベーカーホテルを経営している会長の孫であるオズウェル・ベーカーである。


この、メインキャラクターであるノア様御一行達に隠しキャラクターであるベーカーが混ざっているという違和感ありまくりな光景に思わず恐怖を感じてしまうのは致し方無い事であろう。

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