第151話 このゴミ屑が


 訓練しておらず狙いが定まらない者でも数を揃えて横に並べればそれだけで脅威となり得る。


 そしてこれは言い換えれば、女子供でも扱えるからこそ、この武器で戦う戦法を確立して訓練の上鍛え上げた部隊を一番初めに作った国が世界を制すと言っても過言では無いのである。


 この銃が人間が使う道具である限りそこにはやはり素人と玄人の開きは出来てしまうものである。


 的を狙って半分当たる者と全弾当たる者、どちらで組んだ部隊が強いのか説明するまでも無いであろう。


 そしてこの武器の最も恐ろしい所は、我々聖教国の技術力を持ってしても同じ武器どころか性能を低く下げた物すら作れないという事である。


 そもそも性能を落とした武器がどう見てもただの弓なのである。


 それは他国の動きから見ても、我々聖教国同様の問題を抱えている事など簡単に知れるというものである。


 ジュレミアが手がける武器以外に同様の武器が未だ現れていない事からもその事がうかがえる。


 そしてこの事の何が怖いのかと言えば、将来この武器が全世界各国の軍へ普及するには時間の問題であろう。


 そうなってしまった時、世界各国の命運はジュレミアの指示一つで簡単に決められてしまうという事である。


『その国には武器を降ろさない販売しない、今まで販売させて頂いた武器全てにセキュリティーロックをさせて頂きます』


 そう宣言するだけで良いのだから。


 しかし、そうと分かっていても他国からの武力行為を防ぐ為には銃を持たなければならないというジレンマに陥ってしまうのである。


 それは即ち、ジュレミアが世界をその手中に収めたと言って過言では無い。


 いや、この銃という武器をここまで完成度を高くした状態になるまで売ることをせず、そして誰も真似出来ないレベルに達した時既に世界はジュレミアの物となった。


 こんな武器を見せられてしまってはジュレミアに対して喧嘩を売る国はこの世界から居なくなる。


 我が聖教国以外は。


 それともう一つ、この世界は最早ジュレミアの手に中であると言える事がある。


「こんな下らない武器を持って来たお前はこの武器によって死ね」


 教皇はそう言うと初老の男性が持って来た銃の銃口を、初老の男性のこめかみに向けて何の躊躇いも無くその引き金を引く。


『個人特定の認証に失敗しました。 パスコードを入力し、続く音声ガイダンスの指示に従って指先をかざし本人認証を行なってください』

「は? 何でこの俺が扱えれないんだ? なぁこのゴミ屑が。 何とか言えよ、なぁ」

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