第150話 ここまでバカであったとは
もうすぐ妻と子供たちの無念を晴らす事が出来るのだ。
だからこそより一層慎重に行動するべきであろう。
「そうですか、そうですね。我々には神の加護が御座います。 教皇様の仰る通りであるかと。 それと教皇様、本日はもう一点、話す事がございまして、まず初めにこちらを見て頂きますようお願い致します」
そう言うと教皇から数えて四番目に座っている60代後半であろう男性が席を立ち教皇の所まで行くと何かを教皇に見せる。
「ん? なんだ、これは?」
踏ん反り返っている教皇へ差し出されたものは黒い筒状の形をしたものであった。
その見たことも無い、何らかの道具である事しか理解出来ない教皇はこれが何かを聞いてくる。
「はい。 これは人を簡単に殺せる『銃』という武器で御座います。 そう、女子供でも鍛え抜かれた兵士程度ならば指一本を使い引き金を引くだけで簡単に、で御座います。 この様に」
その教皇の問いに初老の男性は人を簡単に殺せる銃という武器である事を説明した後、連れて来た犬型の魔獣へ向けてその引き金引く。
すると雷鳴が轟く様な破裂音と共に魔獣の頭部が射抜かれており、そして魔獣は事切れていた。
一瞬の出来事である。
どんな攻撃であったかすら目視出来ぬ程の速度で持って魔獣を殺した事実に私は戦慄を覚える。
こんな攻撃は避けようが無いではないか。
しかも、もし見える程の目を持つ者が居たとしてもこの銃により撃ち出される物は魔術により作られた結界魔術ある為透明で見えない。
そしてそれは資源を必要としない画期的な方法である。
そして銃弾用の結界を作るのはジュレミア商会の武器屋で同時に販売している魔術式が書かれた護符である為弓の様に矢と矢筒を持ち歩く必要も無い
そんなふざけた武器が普及しては殆どの武器が過去のものへとなってしまう、私にはそれ程までに強烈であった。
「それで?」
「そ、それでと申しますと?」
「たかだか魔獣一匹倒せる武器を持ってきて何だと言うのか。 それに弓であるならば同じ様な攻撃が出来よう。 しかもほぼ無音でだ。 しかもあれ程の轟音を轟かせておいて仕留めたのが魔獣一匹であろう。 こんな武器など第五階位魔術と比べれば児戯にも等しいでは無いか。 この武器を貸せっ!!」
バカだバカだとは思っていたのだがここまでバカであったとは開いた口が塞がらないとはこの事か。
この武器があれば戦えない者を兵士に出来るだけでは無く、これまでの様に剣や盾などと無駄に技術を教える必要が無いのである。
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